卵巣がん
卵巣がんとは? 卵巣腫瘍とは違うの?
卵巣がんに何故かかるの?(病因)
種々の遺伝子の変異が重なって発生しますが、原因はいまだに解明されていません。以下のものが関与している可能性が指摘されていますが、近年卵巣がんの多くを占めるタイプは、卵管采から発生したり、子宮内膜症から発生することがわかってきました。
- 排卵によって繰り返される卵巣表層上皮細胞の傷害
- エストロゲンやゴナドトロピンなどの内分泌環境の影響
- 卵管を介する外部環境因子への曝露
- BRCAやDNAミスマッチ修復遺伝子の変異などの遺伝因子
症状
卵巣はお腹の中にあるため、腫瘍(腫れもの)ができても自覚症状がでません。一般に無症状の場合がほとんどで、たまたま検診などで見つかることも多いです。
腫瘍が大きくなると下腹部にしこりが触れて、圧迫感や膨満感が見られることがあります。また、膀胱が圧迫されて尿が近くなるなどの症状が出ることもあります。
合併症として腫瘍が捻転して痛みが出たり、腹水などがたまることがあります。
検査
卵巣がんかどうか調べる検査
- 婦人科診察(内診、経腟超音波(エコー)検査)
- 血液検査(腫瘍マーカー):例えば CA125、CA199、CEA
- MRI:腫瘍内容の性状をみます
- CT:リンパ節や肝臓、肺などへの転移の有無をみます
卵巣がんと確定する検査
- 病理検査:卵巣がんは良性腫瘍との鑑別が難しいため、手術を行ってお腹の中を詳しく観察し、摘出した腫瘍を顕微鏡の検査で調べます。
※病理検査が確定診断となります(手術前に確定することは少なく、手術で摘出して初めて診断が確定となります)
当院の治療
- 原則として手術を行い、できるだけ「がん」を摘出します。
- 卵巣腫瘍の組織型と進行期(ステージ)※を決定します。
- 状態に応じて化学療法(抗がん剤治療)を追加します。
また、手術前に化学療法を行うこともあります。
※進行期(ステージ)とは、がんの広がりの程度を示すものです。Ⅰ期~Ⅳ期までの4段階に分類されます。
卵巣がんQ&A
子宮のがん
子宮のがんとは?
子宮のがんは、子宮体がんと子宮頸がんの2種類あります。
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子宮体がん
閉経期の女性に多く、初期から不正出血などの症状が出やすいです。
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子宮頸がん
90%以上はHPV(ヒトパピローマウィルス)※が原因です。初期にはあまり自覚症状がないですが、検診で見つけやすく、若い人に増えています。
※HPV(ヒトパピローマウィルス)のヒトに感染する型は100種類以上が特定されており、30~40種類の型が性的接触によって感染します。これらのうち、約15種類が発がん性であり、子宮頸がんを引き起こす可能性があります。
子宮頸がん
子宮頸がんに何故かかるの?(病因)
性交渉によって子宮頸部にHPVが感染します。
- 持続感染すると子宮頸部異形成を引き起こします。
- 自然に治癒しないと時間をかけて上皮内がん、浸潤がんへ進行します。
自覚症状
病期 | 症状 | |
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異形成・上皮内がん | 症状なし | |
浸潤がん | (初期) | 症状のないことが多い |
(進行してくると) | 不正出血。特に接触出血がある |
検査
子宮頸がんの検査
早期発見、予防が大切です
子宮を残し、妊娠・出産ができるようにしながら再発しないようにすることは「がん」が進んでからでは難しいです。
早期発見と予防が大切です。
子宮頸がん検診は「がん」の前駆病変(前がん病変)から見つけることが可能です。定期的ながん検診(細胞診)とHPV検査を組み合わせることでより正確に診断が可能になります。
- 早期発見には症状が出る前からの検診が大切です。
- 子宮頸がんは、若くまだ子供が欲しいと思っている女性に増えています。
- 初交前にワクチンを接種すれば、子宮頸がんの約8割は予防できます。
- ワクチンを接種しても20才からの検診は必要です。
- ワクチンは性交経験のある女性にも有効です。
子宮体がん
子宮体がんに何故かかるの?(病因)
リスク因子として肥満や糖尿病、未産婦、遅い閉経、タモキシフェン治療、エストロゲン単独使用、複雑型異型内膜増殖症などがあります。また、子宮体がんは2つのタイプにわけることができます。また、子宮体がんの発生に関与する遺伝子異常が解明されつつあり、Lynch症候群のような家族発生例が存在します。
タイプ1(大部分がこのタイプ) | タイプ2 | |
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年齢 | 若年層 閉経前後 | 閉経後 |
組織型 | 類内膜腺がんが多い | しょう液性腺がん、明細胞腺がんが多い |
分化度 | 高分化が多い | 低分化が多い |
浸潤 | 表層・少ない | 深層・多い |
転移 | 少ない | 多い |
進行度 | 穏やか | 早い |
前駆病変 | 子宮内膜増殖症 | - |
予後 | 良好 | 不良 |
症状
不正性器出血(月経ではない出血、特に閉経後出血)や月経不順が子宮体がんを疑う症状です。閉経後出血を訴える女性の10%は子宮体がんであるとの報告もあります。
(進行してきた時の症状)
- 膿や血液のまざった帯下
- 下腹部痛
- 腰痛
- 下肢のむくみ
- 排尿困難
診断
外来で行うことができる子宮内膜細胞診や子宮内膜組織診(内膜搔爬による)、経腟超音波検査(エコー)が診断に有用です。組織診によって診断が確定した場合には、原則的に手術のために必要な諸検査(MRI、CT、子宮鏡、PETなど)を行います。
子宮体がんの検診
子宮内膜細胞診
子宮体がん検出率80~90%(子宮頸がん検診に比べると感度・特異性は低い)
※偽陰性の場合があることを十分に念頭に置く必要があります。また、陰性であっても不正出血が続いたり繰り返したりする時は、再検査・組織検査が必要です。
経腟超音波検査(エコー)
子宮内膜の状態に異常がないかをみます。
子宮内膜組織診
子宮内膜細胞診検査で子宮体がんが疑われる場合は、子宮内膜組織診を行います。子宮内膜のひと掻き掻爬(一部を採ること)と静脈麻酔下での全面掻爬があります。