臨床検査室って何をしているの?

こんにちは!臨床検査室の田平です。

当院の臨床検査室は臨床検査技師37名、事務員5名の総勢42名のスタッフがいます。

年齢は20代~50代と幅広く、まるで家族みたいに感じることもあります。
みんな仲良く、わからない事などあれば自分事のように考えてくれて、良きアドバイスもしてくれます。
多趣味なスタッフも多く、一緒に野球観戦に行ったり、コンサートに行ったり検査室内外で活動しています!
 
そんな和気あいあいとした臨床検査室ですが、全員が同じ検査をしているわけではありません。
一言で『検査』と言っても、色々な検査があるんです。
 
当院の臨床検査室は大きく分けて2つの分野に分かれ、それぞれ専門的に検査を行っています。
 
1つ目は『検体検査』です。
 
検体検査とは、患者さんから採取した血液や尿・便、細胞を調べます。
例えば、貧血や肝機能異常、食中毒の原因菌などを調べるのが検体検査です。
 
検体検査と言っても、血液や尿・便・細胞など、扱う検体が違うので
  • 生化学、免疫検査
  • 血液・凝固検査
  • 尿一般検査
  • 輸血検査
  • 細菌検査
  • 病理検査
と6つの部署に分かれて専門的に検査を行っています。血液型を調べたり、輸血する時に必要な検査も検体検査室で行っています。
 
2つ目は『生理検査』です。
 
生理検査とは、直接患者さんを調べます。
例えば動悸を訴える患者さんに対して心電図検査で脈の乱れがないか調べたり、心エコー検査では超音波を使って実際に心臓の大きさや動き、そして血液の流れを調べたりします。その他、足の血管の硬さや詰まり具合を調べるABI検査や、肺の機能を調べる呼吸機能検査、脳の機能を調べる脳波検査なども行っています。これ以外にも、色々な検査を行っています。
 
また、検査室の中の仕事だけではなくて、外来患者さんの採血やインフルエンザの検体採取も行っています。
 
採血は臨床検査技師全員で行っています。
皆さん1度は採血をしたことがあるのではないでしょうか?
 
採血って痛くて怖くて憂鬱ですよね・・・
 
そこで検査室では患者さんとコミュニケーションを取りながら
できるだけ不安や痛み少なく採血を受けていただけるよう、定期的に採血の技能講習や接遇研修を行っています。
呼び出し方やアイコンタクトの取り方まで検査室みんなで練習しています。
患者さんに笑顔で帰っていただけると、私たちもとても嬉しいです。
 
また、府中病院は24時間救急患者さんの受け入れをしているので夜中や早朝でも検査をしています。
夜勤業務と言って、毎日1人ずつ夕方から出勤して翌朝まで検査をします。
 
夜中に1人で検査なんて不安だなーと思うかもしれませんが、
後でお話ししますが、1人1人研修プログラムを計画し、先輩技師と一緒に練習してからデビューしますのでご安心ください!
また、定期的に検査室内で勉強会を行い、夜勤業務で必要な知識を共有しています。
 
色々な経験が出来て勉強になるので私は結構夜勤業務は好きです。
 
以上が臨床検査室の仕事内容です!
簡単な説明でしたが、臨床検査室でどんな事をしているかお分かりいただけたでしょうか?
 
色々な検査があり、それぞれ専門的な部署に分かれて検査をしていますが、お互いに協力しあって診断・治療に役立てるように正確で迅速な検査を心がけて頑張っています。

幅広い知識を持つ臨床検査技師に!

先ほどお話ししたように臨床検査室は色々な部署に分かれていますが、新入職員には各部署を回ってそれぞれの研修を行います。

各検査部署を回ることによって幅広い知識を身に着け、またチーム医療の一員として医師や看護師などの他職種とのコミュニケーション能力を高めることを目的としています。

特に夜勤中は、少ないスタッフで早急な対応をしていく必要があるので、医師や看護師とのコミュニケーションを積極的に行っていくことはとても大切なことだと思います。

また、研修をまわるうちに色々な先輩方とお話する機会が出来て、自然と検査室に馴染めていけるところもいいところだと思います!

研修では各部署で到達項目のチェックリストを用いて新人の成長を評価しています。チェックリストには日々の検査に必要な項目が記載されているので、研修内容の漏れはありません。また、指導者と研修者が理解度を記入していき、研修がどこまで進んでいるか、どの項目が難しいと感じているかひと目で分かるので研修が進めやすくなります。

指導者に面と向かって聞きにくいことや、家に帰って『よく考えたら・・これは何だったんだろう?』ってよくある事だと思うので、日誌に書いてもらうと、すぐに指導者からお返事がくるので疑問をすぐに解決できます!

また、各部署で年に1度ぐらいの頻度で『技能評価』というチェックを行っています。

技能評価とは臨床検査室のスタッフみんなが同じように検査の技術レベルを保てるように行っているいわばミニテストみたいなものです。

1つ例を挙げると、毎年緊急輸血の技能評価を行っています。主に産後の出血や、吐血・下血などで緊急輸血の依頼が出されます。出血が止まらない時は、赤血球や血小板を輸血して、血液の補充や止血の手助けをします。救命処置は一刻を争いますので、迅速に正確に緊急輸血の準備を行います。

技能評価では、そんな緊急輸血のシチュエーションを想定して輸血検査を行います。輸血検査とは患者さんの血液と輸血バッグの血液を検査し、輸血が可能であるかを判断する検査です。

評価者が依頼元の医師の役をして、実際に緊急輸血の依頼や輸血検査、結果報告などの連絡のやりとりをします。そのやりとりを見て、評価者があとで上手く出来ていたところや、もう少しこう改善した方がいいんじゃない?とアドバイスをくれたりします。慣れない業務は正直言って緊張しますが、間違いのないよう集中して取り組みます。

ですが、この技能評価は自分の成長にとって大変ありがたい仕組みです。実は緊急輸血の依頼はそんなに頻繁にあるわけではなく、たとえ疑似的なものとはいえ、実際に経験したことがあるのとないのとではいざというときに精神的に全然違うのです。

今年緊急輸血の技能評価をした翌週に、病棟の患者さんの緊急輸血依頼が入りました。

医師から連絡を受けてから、準備を進めているときに『あっ、これ前にやったわ!次はこの操作ね!』とか『ここも同時進行しておけばスムーズに出来るな』と思い出しながら動くことができ、いつもより早く輸血バッグを患者さんのもとに届けられました。

ばっちり研修していても、技能評価をしていても、勉強会をしていても、検査をしていると分からない事や疑問点は必ず出てきます!

でもそんな時は遠慮しないで、周りの先輩、上司に声をかけてください。府中病院臨床検査室の愛情たっぷりのお節介な先輩たちが、あなたの疑問や悩みを解決してくれるはずです。マシンガントークで熱血指導がはじまりますよ!(笑)

専門知識を極める認定資格!

皆さんは認定資格というものを知っていますか?

臨床検査技師は国家資格を持っていますが、より専門的な知識や技術を習得するための手段の一つとして認定資格の取得が挙げられます。

認定資格に合格するためには多くの知識が必要となり、学んだ知識を日頃の検査に活かすことができます。

当院でも多くの認定技師が在籍しています。一部を簡単に紹介します。

●超音波検査士
エコー検査の資格です。
循環器・腹部などの領域に分かれていて、複数領域の資格を持っている職員もいます。
高齢化社会、生活習慣病の増加で近年は心血管疾患のリスクの増加が問題となっています。
心臓の血管が詰まる心筋梗塞や、心臓の弁が固くなって起こる弁膜症などがありますが、これらの疾患を診断するのに超音波検査は非常に重要な役割を担っています。
超音波検査士は専門的な知識を持ち、患者さんに最適な治療を受けていただけるよう努力しています。
 
●細胞検査士
病理細胞診の資格です。患者さんの尿や組織を染色して、良性悪性を判定します。細胞診についての深い知識と鏡検の技術が求められます。
近年、日本はがん大国と言われるほどがんに罹患する患者さんが増えています。
細胞検査士は細胞をさまざまな方法で調べ、がんの早期発見と診断に役立っています。
 
●認定輸血検査技師
輸血検査の資格です。輸血は移植の一種と考えられているように、種々の副作用・合併症を伴い易く、輸血治療を行うには深い知識、的確な判断力と技術が要求されます。
当院は血液内科の診療があるので、血液疾患で輸血を必要とされている患者さんが多く、輸血により今まで体内に無かった抗体を産生してしまう場合もあり、また治療により血液型が変わってしまう患者さんもいらっしゃいます。
そのような患者さん1人1人に適切な輸血が施行出来るように日々検査を行っています。
 
●認定臨床微生物検査技師
微生物検査ってあまり馴染みがないかもしれませんが、どういった微生物(菌)が感染しているか、その菌にはどの抗菌薬がよく効くのかを調べる検査です。
また院内感染対策チームにも臨床検査技師は参画しています。
感染対策チームでは、薬が効かない薬剤耐性菌に感染した患者さんや、血液から菌が検出された患者さんの治療計画の検討などを行っており、微生物検査だけでなく、院内感染の知識も専門的なものが要求されます。
まだ微生物検査の認定技師は全国的にも少ないですが、当院でも認定技師の育成に細菌検査部全員で取り組んでいます。
とてもとても簡単に紹介しました。興味のある資格はありましたか?
ここには書ききれなかったですが、他にもいろいろな資格がありますので興味のある方は調べて見てください!
 
私自身も専門的な知識を増やしたかったことと、自分のやっている検査にもっと自信を持つために超音波検査士の資格を5年前程に取得しました。
先輩方のアドバイスやサポートのもと、認定資格を取得するためにとにかく勉強しましたし、自分自身の今までの検査の振り返りにもなりました。
 
そして資格を取得したあとは、自分のしている検査についての責任をより感じるようになり、正確で信頼性のある検査を心がけるようになりました。
 
例えば、乳腺エコーの資格を取った時・・・
今まではエコーで乳腺の中に出来物(腫瘤といいます)を見つけた時、この出来物は良性か?乳がん(悪性)か?としか考えようとしていませんでした。
 
しかし、認定資格の勉強をしていくうちに、乳がんにもいろいろな種類があって、それぞれエコーでの見え方が違い、乳がんの種類によってリンパ節に転移する確率が異なったり、予後が悪かったり、乳がんの広がり方によって治療・手術の術式にも影響を及ぼすことを知りました。
 
それから、エコー検査で腫瘤を見つけた時は出来るだけ乳がんの種類・広がり方・転移の有無まで確認するようになりました。
 
正直、認定資格を取ってからの方が、患者さん一人ひとりの検査時間が長くなったと思います(笑)
 
また、資格取得のために学んだ事で知識が増え、もっとこんなことが知りたい!と向上心が高まった気がしていて、認定資格を取得して本当に良かったと感じています。
 
当院では入職後すぐは幅広い知識を身につけるために様々な検査の研修を行いますが、研修が終了すれば各部署に配属され、専門性の高い検査を始めていきます。
 
はじめは検査の流れを把握するのにいっぱいいっぱいかもしれませんが、どんどん検査を行っていると、検査結果の見方も身について来て、さらには治療のことまで知りたくなってきます(きっとそうなります)
 
そんな向上心を持ったプロフェッショナルがたくさん在籍する当院の臨床検査室、気になる方はいつでも病院見学に来てくださっても結構です!
ご興味のある就活生の皆さん、お気軽にご連絡ください!
府中病院で皆さんとお会いできることを楽しみにしています。