こんにちは、府中病院 管理栄養士の田中です。
当院では、チーム医療の一つとして多職種で栄養サポートチーム(NST)活動を行っています。
今回はNSTの活動とNSTの専門資格についてご紹介します。

栄養サポートチーム(NST)とは?

栄養サポートチーム(Nutrition Support Team)は、患者さんに適切な栄養管理を行うための多職種で結成されたチームのことです。

当院のNSTでは、医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師・言語聴覚士・管理栄養士が協同して栄養管理を実践しています。

NSTでは栄養面での介入が必要と判断される患者さんを毎週ピックアップしています。NSTのメンバーはピックアップされた患者さんの栄養状態(血液データ、食事摂取量や摂食嚥下機能、栄養投与カロリーなど)を確認し、毎週金曜日にカンファレンスを行い最適な栄養方法を検討します。その後患者さんを回診し、主治医へ栄養方法や改善策などの提案を行います。私たちは、患者さんの栄養状態の改善や治療効果の向上・合併症の予防・QOL(生活の質)の向上のほか、在院日数の短縮や医療費の削減などを目的に活動しています。また、栄養に関する知識向上に向けて院内勉強会の開催も実施しています。

2020年は50回、延べ378名に回診を行いました。

栄養サポートチーム専門療法士について

栄養サポートチーム専門療法士とは、一般社団法人日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)が認定する栄養管理の専門家です。NSTに関わる医療スタッフの専門性を高めるための資格です。

【認定条件】

  1. 認定の対象となる国家資格(管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、言語聴覚療法士、理学療法士作業療法士、歯科衛生士、診療放射線技師)を取得していること
  2. 国家資格を得てから5年以上医療・福祉施設で勤務し栄養管理に関する業務を経験を有すること
  3. 日本臨床栄養代謝学会主催のセミナー、学術集会、学会などに参加し必要単位を取得していること
  4. 学会に認定された教育施設で合計40時間の実地修練を終了していること
  5.  1~4の条件を満たしたうえで、認定試験に合格していること

当院では現在、管理栄養士1名・薬剤師1名・臨床検査技師2名が栄養サポートチーム専門療法士の資格を取得しています。

今後の抱負

栄養サポートチーム専門療法士の資格を取得したことで、より幅広い栄養の知識を得ることができました。また資格は5年ごとの更新が必要であり、定期的に新しい知識を得るための勉強をするきっかけとなります。

資格を取得することで仕事内容が大きく変わるわけではないですが、栄養に関する薬剤・検査・看護などの基本についても理解することで、他の職種との連携が取りやすくなったと感じます。

当院には、疾患や手術後などで食事をしっかり食べることが難しい患者さんが多くいらっしゃいます。しかし、一人ひとり食べられない理由は異なります。嚥下状態や嗜好に食事が合っているのか?投与されている薬剤で食欲不振の副作用があるものはないか?昼夜逆転でご飯の時に傾眠傾向になっていないか?など、私たちは様々な面から患者さんの病状を確認します。その中で最適な栄養方法を提案し、食事が食べられるようになったり栄養状態が改善した時にとてもやりがいや嬉しさを感じます。

近年は治療において栄養管理が重要であるということが再認識されてきており、NST活動以外の日々の栄養管理業務においても、実地研修などで得た知識が役立つと考えています。

今後も、栄養を通して患者さんの治療の支えとなれるよう頑張っていきたいと思います。