妊娠初期の出血

妊娠初期は新しい命を意識して幸せいっぱいの時期ですが同時に不安もたくさんあることと思います。性器出血も時々妊娠初期にみられて妊婦さんを不安にする症状です。ちょっと出血がついたけど、電話した方がいいかな?不安だけど連絡までするのは、、と悩んだりすることもあるかもしれません。不安な時はお電話いただくのが正解ですが、多くは心配のない出血です。お問い合わせいただいたときに、お家で経過を見ていただくか、来院していただくか、私達の判断のポイントをご説明します。

心配のない出血とは

妊娠すると子宮は赤ちゃんに栄養や酸素を運ぶため血流が増えてちょっとしたことで出血しやすくなります。硬いお通じをきばって出したり、自転車やバイクに乗ったりするだけでも子宮の入り口が傷ついて出血することがあります。また、赤ちゃんの袋(絨毛)が子宮内膜に潜り込むときに少量の出血をおこすことがあります。このような場合はゆっくりしていれば自然に止まることが多いので一度少量の出血があっても古い色やおりものシートにつく程度なら安静で様子を見ても構いません。どちらの場合も腹痛はなく、出血も薄い色か茶色い色でおりものシートでおさまる程度であることが特徴です。この程度の出血はおなかの中での赤ちゃんの成長に影響はありませんので安心してください。

初期の出血にできること

子宮の入り口からの出血や絨毛形成に伴う出血には特に治療はありません。妊娠初期は赤ちゃんの体の主な器官が出来るときでもあり、不要な薬は避ける方がいいといわれています。性交渉や自転車、激しい運動は避けてゆっくり過ごしていただくことになります。まれに子宮の入り口にポリープが出来ていたり、感染や炎症で出血していたり、子宮の中に血腫が出来ていたりすることがあり、そのようなときは薬や処置が必要なことがあります。①腹痛(重痛い感じや生理痛のような痛み)を伴う場合や②おりものがにおうとき、③生理のような量の出血があるとき、④繰り返し出血するときは健診を待たずに医師の診察を受けましょう。

三橋 玉枝
三橋 玉枝
産科・婦人科/副部長