「目がかすんだり、見えにくいのは白内障?」

こんにちは、府中アイセンター通信編集担当の谷川です。
当院では2019年6月に府中アイセンターが開設され、毎日多くの目のお悩みを抱える患者さんが来院されます。特に白内障は2019年度1000例を超える手術を行っており、当院でも一番手術件数の多い目の病気です。
白内障になると、かすんで見えたりまぶしく感じたりする症状があり、特に50歳代以降に多く、目の見えにくさはゆっくり進行するため転んだり事故にあったりする危険もあります。
私たち医療従事者としては早めに受診していただきたいところです。
今日は当院のアイセンター センター長の下村先生に、白内障はどんな病気でどんな症状があるのか、そして治療方法について教えていただこうと思います。

白内障の症状

Q : 先生、白内障にはどのような症状がありますか?

下村センター長:
一般的には、「かすんで見える」「光をまぶしく感じる」「見えにくくなってきた(視力の低下)」「二重三重に見える」といった症状です。当施設に、白内障でお越しいただく方も、「見えにくい」「かすんで見える」との症状を訴える方が多いですね。

症状が出る仕組み

Q : では、なぜこのような症状が出るのでしょうか?

下村センター長:
白内障とは水晶体が濁る病気です。目をカメラに例えるとレンズに相当する部分が水晶体に相当します。レンズが濁ると光の透過性が悪くなり、かすんで見えたり、水晶体の中で光が乱反射し眩しく感じたりします。
誰でも年をとると水晶体に濁りが起こり白内障となります。早い人では40歳代から始まり、50歳代を過ぎると、かなりの人に白内障の症状が起こります。当施設で、昨年度、手術を受けられた方を年齢別でみると、40歳代から90歳代にわたり、70歳代の方が一番多く、次いで60歳代の方でした。気付かないうちに白内障が進み、老眼や眼精疲労などと間違えやすいために、手術が遅れることも少なくありません。

混濁なし

水晶体のにごり

白内障の治療

Q : 今、手術のお話になりましたが、薬では治りませんか?

下村センター長:
残念ながら水晶体の濁りは薬で取ることはできません。そのため、最終的には白内障手術を受けることになります。手術では濁った水晶体を取り去り、その代わりに人工の水晶体(眼内レンズ)を入れます。通常、手術は局所麻酔で行うため、医師やスタッフと会話をすることも可能です。また、痛みはほとんどありません。眼科手術用の顕微鏡を使用して角膜を3mmほど切開して、眼内レンズを挿入します。特に問題がなければ手術時間は15分から20分程度で終了し、日帰り手術も可能ですよ。

アイセンターの手術の特徴

Q : アイセンターでの手術の特徴について教えてください。

下村センター長:
当施設では、日本に限られた施設にしか導入されていない最新のフェムトセカンドレーザー(組織に傷害を与えず組織を切開するレーザー)を用いた手術が可能です。このレーザーを用いると眼内レンズの固定が安定し、術後の見え方が数段良くなります。また、眼内レンズは保険診療の単焦点レンズだけでなく、選定療養としての多焦点眼内レンズも選択可能です。レンズ選択時には視能訓練士がレンズについて詳しく説明し、術後の生活スタイルに合わせたレンズ選択と安全かつ正確な手術が可能です。手術には看護師と臨床工学技士が関わり、看護師は患者さんの処置やケアに務め、臨床工学技士が眼科手術機器の操作ならびにメンテナンスを行い、手術を行う眼科医をチームで支えているところが大きな特徴ですね。

手術までのスケジュール

Q : 先生、手術までのスケジュールについて教えていただけませんか?

下村センター長:
当施設では、初診当日に自覚症状や検査結果で白内障手術が決まった場合、2回目の来院時に白内障手術の説明と精密検査を受けていただき、3回目の来院時には手術を行えるスケジュールになっています。

手術を受けるタイミング

Q : 先生、白内障手術を受けるタイミングについて教えてください。

下村センター長:
目安として日常生活に不便を感じるようになった時が、一つの判断です。ただ、手術を不安に思い先送りしすぎると、水晶体が固くなりすぎて手術時間が長くなるばかりか、術後に行うケアが多くなって生活の質が悪くなることがあります。適切なタイミングで手術を受けられるようお近くの眼科医にご相談ください。