当院での後期臨床研修

当院は病床数380床の、主に地域の急性期医療をになう基幹病院で、総合診療科や救急科と各種専門診療を担当する内科系、外科系診療科を備えた総合病院です。

当院では、毎年10人の研修医が採用され、2年間の初期臨床研修を受けています。研修終了後、内科系、外科系、救急科、マイナー科など色々な道、病院に進んで行きますが毎年何人か当院で後期研修を続けてくれています。

今年も内科系では当科志望(循環器内科)3人、消化器内科志望1人の後期研修医が2年間の研修修了後、当院の内科専攻医プログラムに沿って研修を続けてくれています。さらに大阪市立大学血液内科から当院で初期研修を受けた後期研修医を1人受け入れています。

自分たちの3-5年目時代と比べて何が違うか

約15年前の私自身の3-5年目時代を振り返ってみると、当時は「教育」が特別意識されていた訳では無かったのか、「見て経験して自分で覚えろ」的な考えがあったのか、ぶっつけ本番で研修していた場面が多く、体系的に学べていたか疑問です。

今、当科で後期研修を受けている5人の先生は自分が3年目だった時よりも優秀だと感心しています。時代の変化とともに若手医師の教育が重視されるようなってきたり、様々な教育用のツールが出てきたりしたことも一因だと思います。

循環器内科では週に1回病棟カンファレンスを行い、循環器病の診断や治療についてはもちろんのこと、時には患者本人の背景(仕事や経済状況、家族の状況、家族の考えはどうなのかということなど)も含め、看護師、PT、MSWなど多職種と一緒にディスカッションを行います。

また、教育用のツールとしては当院でも心血管カテーテル操作のシミュレーター、ペースメーカー留置のシミュレーターなどを用意し、医学書を読むだけや上級医の手技を見て学ぶだけではなく、実際に手を動かして専門的な手技を体験学習し治療技術をトレーニングしてもらいます。

夜間は上級医と後期研修医と2人で急性冠症候群などの緊急カテーテル治療にあたることが多く、数か月に1度のペースで医師、看護師、薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士という、多職種協働での血管造影室での急変対応シミュレーションを定期実施しています。シミュレーション時は後期研修医が先頭に立って研修を進めてくれています。

研修は基本的には指導医が責任を負いますが、看護師、臨床工学士など現場で働くさまざまな人たちと一緒に後期研修医を育てていきたいと考えています。

All For Oneの後期研修〜患者さんの命を救う喜びを分かち合い、ともに成長していく医師教育〜

当院は地域の基幹病院であり、様々な職種のスタッフがいるためスタッフ間のコミュニケーションがとりづらいと思われているかもしれませんがそんなことはありません。とかく若手医師は「雑用だけで忙しい」とか「昼も夜なく仕事で大変」というイメージが急性期病院にはありますが、当院の現場では上級医が率先して動き、患者の救命のため多職種が一致団結してAll For Oneで命を救う喜びを分かち合える自慢の職場です。何か新しい治療や取り組みをやる時も「出来ない」ではなく、「患者さんのためになるならやっていこう」という姿勢のOne teamの中で研鑽を積めることは、医師の成長にとって非常に大きな価値があります。

近年、我々循環器内科の専門領域はかなり細分化されています。今後どのような専門治療を学び臨床力を育んでいくべきか、後期研修医一人一人が自分にあった道を選び成長していけるように、我々は一人一人の個別性を尊重し、本人の考えを聞きながら後期研修での指導をカスタマイズして長所をさらに伸ばせるような教育を心がけています。

皆さんと一緒に緊急カテーテル治療を成し遂げ、患者さんを助ける喜びをともに分かち合える日がくることを心から楽しみにしています。

府中病院の循環器内科で私たちと一緒に働きましょう!