脳梗塞は最も多い脳卒中です

府中病院には脳卒中で多くの患者さんが運ばれ、診断・病態に応じた急性期・慢性期治療を行っています。

脳卒中は脳の血管が破れたり詰まったりして脳の障害を来す病気の総称ですがその中で最も多いのが脳梗塞です。

脳梗塞は脳の血管が詰まって血液が通わなくなって脳細胞が壊死してしまう病気です。原因の多くは脳の動脈の老化(動脈硬化)ですが、心房細動という不整脈が原因で心臓にできた血栓がとんできて脳の動脈を詰めてしまうこともあります。ほとんどの場合は突然に半身の麻痺や呂律困難、意識障害を起こして発症します。詰まりどころが悪いと亡くなられることも多い病気です。脳は血流が足りないことに非常に弱く血管が詰まれば短時間の間に壊死して回復しない状態(脳梗塞)になってしまいます。

発症から数日の間は脳梗塞の範囲が拡がってゆき症状が悪化することが多くできるだけ早く治療を行うことが重要です。

カテーテルで除去した血栓

脳梗塞急性期の治療

初期の治療として、抗血栓薬(血液をサラサラにする)を投与し脳血流を改善させ脳梗塞の拡大を防止する治療を行います。特に発症数時間以内にはアルテプラーゼ(tPA)という強力な脳梗塞治療薬を使用することが可能です。この薬は閉塞した血栓を溶解させ、脳血流を再開させることが可能と言われています。

また脳梗塞の急性期は脳梗塞そのものに対する治療だけではなく脳梗塞に伴って起こってくる全身合併症の治療が重要です。麻痺のために身体を自由に動かすことができなくなったり食事をうまく摂ることができなくなるため栄養状態が悪くなりやすく肺炎を初めとする感染症が起こりやすくなります。全身の合併症は脳梗塞を更に悪化させその後の回復の可能性を低くしてしまうため早期から点滴や流動食などで栄養管理を行い、リハビリテーションで身体を動かしていただくようにします。脳の太い動脈が狭くなったり閉塞している場合には手術で狭窄部を広げたりバイパスを作って脳の血流を増やす治療が必要な時もあります。

身体が不自由になってしまうことはとてもつらいことですので精神的なケアも大切です。少しでも回復していただけるよう患者さんごとに病状、全身状態を熟考して最良の治療を選択できるように努力しています。

脳血管のバイパス

急性期を乗り越えたら

急性期を乗り越えれば今度は後遺した神経症状に対するリハビリテーションが治療の主体になります。脳梗塞発症後の数か月のリハビリテーションは重要でその後の生活自立度に大きく影響します。リハビリテーション専門病院に転院していただき可能な限り機能を取り戻して自宅生活、社会生活に復帰していただけるように手配を行います。地域の医療施設間での連携を行い、患者さんの状態に最も適した専門病院にスムースに転院していただけるよう努めております。

このように当院では急性期の治療からリハビリテーション専門病院への転院までの間に医師・看護師だけではなく、管理栄養士・理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士・社会福祉士など多くの職種が関わり、スムーズに社会生活に戻っていただけるように努めています。