糖尿病とはどんな病気ですか?
病態には、インスリン分泌不全とインスリン作用の障害(インスリン抵抗性)があり、成因は多様であり、遺伝因子と環境因子が大きく関与しています。糖尿病は、成因により大きく、1型糖尿病、2型糖尿病、特定の機序・疾患に伴うその他の糖尿病の3つに分類されます。治療は食事療法、運動療法が基本ですが、経口糖尿病薬やインスリン注射が必要な場合もあります。
糖尿病には、どんな症状がありますか?
多くの場合(軽症の場合)には高血糖に伴う症状(口渇、多飲、多尿、体重減少など)がないことが多いです。しかしながら、血糖が異常に高く重篤な場合には昏睡(糖尿病ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群)に陥ることもあります。自覚症状が無くても、血糖値が高い状態が続くと、気づかないうちに全身の血管が障害され、さまざまな合併症が起こります。糖尿病特有の細小血管合併症が出現します。代表例が網膜症、腎症、神経障害の「三大合併症」です。網膜症は失明に、腎症は腎不全引いては人工透析の必要な状態に、神経障害は足先などの痺れ、麻痺、壊疽が起こすこともあります。また大血管障害(動脈硬化)が促進され、心筋梗塞、脳梗塞、壊痘、下肢閉塞性動脈硬化症の発症もよく見られます。
糖尿病の合併症
糖尿病の治療方法を教えてください。
治療の3本柱は食事療法と運動療法と薬物療法です。そして食事療法と運動療法は基本の基本です。食事はなるべく3食3等分に、そしてバランスよく食べ過ぎず少なすぎず食べましょう。その次に薬物療法の出番です。そしてできれば毎日の自己管理療法が正しいかどうかを「自己反省をする」意味からも自己血糖測定をしてみるのもいいでしょう。薬を1つ減らすことができるかもしれません。受診も定期的に行い、合併症を早期に見つけ治療を受けましょう。
血管を健康な状態に保つためにも、血流を悪化させるタバコなどは禁止しましょう。
また糖尿病で医療機関を受診した場合には、必ず「日本糖尿病協会発行の糖尿病療養連携手帳」を発行してもらい、この手帳を活用しましょう。
糖尿病は治りますか?
「治りません」。「そんな冷たいことを言って無責任な」とおっしゃるかもしれませんが、糖尿病は病気というよりは体質なのです。また同じ糖尿病と言っても皆全く同じ状態ではなく、10人それぞれ少しずつ異なります。自分の体質を知ってその体質に合った日常生活をしなければなりません。そしてすべての人にとっては食事療法、運動療法は基本です。時には飲み薬やインスリンと言う注射療法の助けを借りる必要があります。だからその体質に合った日常の工夫が大切で、毎日の日常生活の中に取り入れなければいけません。そして血糖、血圧、脂質代謝異常の改善、肥満の解消が合併症を防ぐことができるのです。
糖尿病を放っておくとどうなりますか?
血糖値が高いままの生活を続けると、全身の血管がもろく、ボロボロになってしまう病気です。全身の細胞の機能も低下し感染に対しても抵抗力がなくなり肺炎、尿路感染、歯周病等も引き起こします。前述した合併症以外にも全身にいろんな障害が起こってきます。(下図参照)
府中病院では、医師(日本糖尿病学会認定専門医、同指導医)、糖尿病療養指導士を含む看護師、管理栄養士、薬剤師によるチーム医療を行っています。
また、外来および教育入院患者さんに、隔日で定期的に糖尿病教室を開催しています。今後の予定はホームページまたは院内ポスターをご確認ください。
(注)2020年12月現在、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、糖尿病教室の開催は中止しています。