初期臨床研修に望むこと 研修医 vs. 指導医
当院は病床数380床の、主に地域の急性期医療をになう基幹病院です。そのため、総合診療科や救急科と各種専門診療を担当する内科系、外科系診療科を備えた総合病院です。
当院では、毎年10人の研修医が採用され、2年間の初期臨床研修を受けています。では、この2年間の初期臨床研修に、指導医、研修医はそれぞれ何を期待するでしょうか?
研修医からは、「早くいろいろなスキルを身に付けたい」という言葉をよく聞きます。ここで言う「スキル」とは、採血、縫合、気管内挿管や中心静脈挿入など「手技」をさしていることが多く、これらを早く習得したいという気持ちも、非常に良くわかります。私も医師1年目の時には、よく病棟で中心静脈を挿入する患者さんがいないか探し回り、上級医の先生にチャンスをもらいにいった記憶があります。
しかし、臨床経験を重ね、指導医の立場になって見ると、手技以外にも多くの大切なことが見えてきます。多くの指導医は、彼らが研修終了後、一人の医師として成長していくために必要な基本的能力を習得するためには、どのように指導すべきかを常に考えています。
それはなぜか?指導医もまた同じ道をたどり、程度の差こそあれ、「研修中にもっとこれをしっかり学ぶべきだった」と思っていることがあるからです。
また、臨床研修の到達目標でも「医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)を自らのものとし、基本的診療業務ができるレベルの資質・能力を習得する」ことが求めています。この目標に向けて、当院が実践していることを紹介します。
研修医をいかに医療人として成長させるか
〜スタッフ一丸の教育体制〜
誤解があっては困りますが、当院が手技の習得を軽視しているわけではありません。むしろ、安全かつ正確に手技が行えるようシミュレーターを使用した様々な講習(外科的縫合、気管内挿管、救急蘇生法など)を行っています。特に中心静脈カテーテル挿入に関しては、講義を受け、シミュレーターを用いた実習を行った後、テストに合格しないと患者さんには実施できません(不合格者は補修です!)。
そして、我々が最も重要と考えることは、当法人の使命である「愛の医療と福祉の実現」に基づき、パートナー(患者さん)に対して安全で的確な医療が提供できる資質・能力を養成する事です。そのためには、日常の研修や様々な講習会を通して自ら学ぶことはもちろんですが、その上で、積極的に他者の意見を聞き、今の自分にない知識や経験を共有することです。他者とは、指導医や多数の専門医だけをさしているのではありません。看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、MSWなどチーム医療を実践するうえで欠かすことのできない人々です。当院には、これを実践できる環境、すなわち職種間のコミュニケーションが非常にとりやすい(風通しがいい)風土が早くから根付いています。
是非、この環境のもとで、自分自身を最大限成長させてみませんか!
もし途中で挫けそうになっても大丈夫
研修医生活の中心は、学生時代の知識や実習経験をもとにした医療の実践ですが、学生時代との大きな違い、1つ1つの行動に医師として、社会人としての責任が伴います。はじめの数カ月はいい意味での期待と緊張でみんな生き生きと頑張っています。しかし、夏頃になると、緊張やストレスから元気が出せなくなることもあります。当然です。医師も普通の人間ですから。でもこんな時、当医院には様々なサポーターがいます。
1つ目は相談し助け合える10人の同期と10人の先輩研修医、2つ目は、研修医時代の経験をもとに、どんなことでも相談に乗ってくれる頼れるメンター、そして、3つ目は3人の専属事務員を配置する医師研修センターです。彼らは、臨床研修をスムーズに運営するためのエキスパートであり、研修スケジュール全般の管理や個々の研修医の進捗状況や体調確認を行います。そのため、厳しい側面もありますが、研修が無事終了できるよう親身になってあらゆることに対応してくれます。
多くの仲間とともに、明るく風通しのよい環境で、安心できるサポートを受けながら、厳しくかつ楽しい研修医生活を送ってみませんか!