ホルモン療法
ホルモン療法の作用機序
ホルモン感受性のあるがん細胞では、女性ホルモン(エストロゲン)が細胞の中にある受容体(レセプター)に結合することで細胞が活性化し、細胞分裂してがんが増殖していきます。そこで、エストロゲンを減らしたり、レセプターと結合しないようブロックしたり、レセプターの数を減らしたりして、がんが増殖しないように治療します。この治療をホルモン療法と言います。
ホルモン療法の副作用
エストロゲンの量が減少したり、その作用が阻害されたりするため、更年期症状と類似した副作用がある。
Hot flash(のぼせ)、頭痛、めまい、関節のこわばり・痛み・腫脹、高コレステロール血症、骨粗しょう症 など
抗HER2療法
(ハーセプチン)
「HER2/neu」という特定の遺伝子が関与する乳がんに対して、トラスツズマブ=ハーセプチンという薬を用いて治療を行います。HER2検査をすることで、ハーセプチンやタイケルブの効果が期待できる「がん」とそうでない「がん」がわかるため、切除した乳がんのHER2検査は不可欠な検査であるといえます。
化学療法の副作用
化学療法(抗がん剤治療)
- CMF …C(シクロホスファミド=エンドキサン)とM(メソトレキセート)、F(フルオロウラシル=5FU)の3剤を組み合わせた治療法です。
- CAF …C(シクロホスファミド)とA(アドリアシン)、F(フルオロウラシル=5FU)の3剤を組み合わせた治療法です。
- AC …A(アドリアシン)とC(シクロホスファミド)の2剤を組み合わせた治療法です。ECE(エピルビシン)とC(シクロホスファミド)の2剤を組み合わせた治療法です。
- FEC …F(フルオロウラシル=5FU)とE(エピルビシン)、C(シクロホスファミド)の3剤を組み合わせた治療法です。
- タキサン系薬剤 …ドセタキセル=タキソテール、パクリタキセル=タキソールなどを使った治療法です。
内分泌療法(ホルモン療法)
乳がん患者さんの60%から70%はエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンによってがん細胞が増殖するホルモン感受性の乳がんです。乳がんのホルモン療法はからだの中で作られるエストロゲンを減らしたり、エストロゲン受容体をふさいでエストロゲンとの結合を邪魔することで、がん細胞の増殖を抑えるものです。乳がんのがん組織を調べ、ホルモン感受性があると診断された場合にホルモン療法の効果が期待できます。副作用が比較的少なく、長期間使えるのが特徴です。
乳がんの治療に用いるホルモン剤にはいくつかの種類があり、閉経前と閉経後とで治療に使う薬剤も異なることがあります。閉経前の女性は、主に卵巣でエストロゲンが作られます。一方閉経後には副腎で作られるアンドロゲン(男性ホルモン)が脂肪などにある酵素の働きでエストロゲンに変換されます。