緩和ケアに対する府中病院の取り組み

患者さんやそのご家族が抱える全人的苦痛(トータルペイン)のそれぞれの領域は密接に関連し、相互に影響を与えます。

例えば、「痛み」の訴えの裏側には精神的苦痛や社会的苦痛が影響していることもあります。そのため、それぞれの側面の問題点を明らかにし、解決するために、チーム医療で取り組みます。

当院の特徴としてはそれぞれの問題を専門的に取り組むため医師、看護師、薬剤師、臨床心理士、理学療法士、ソーシャルワーカーなどが職種の壁を越えて密に連携しており、互いに意見を出し合ってより良い解決策を模索し、患者さんの生活の質向上に貢献します。

また、緩和ケアチームが中心となって定期的に多職種による緩和ケア研修会を実施しており、院内のメディカルスタッフのみならず地域の医療従事者における緩和ケアに関する知識の向上に努めています。こうした活動は当院の特徴である、職種にとらわれずに密な連携ができる職員風土の礎にもなっています。研修会で地域の医療従事者と関わることで他の医療機関との連携にも役立っています。

http://www.jspm-peace.jp/data/v3_a/M2b_201612.pdf
PEACE projectより

緩和ケアチームにおける薬剤師の役割

緩和ケアを必要とする患者さんには、鎮痛薬、向精神薬が必要となる場合も多く、薬剤師はチームの中でも多くの知識が求められます。緩和薬物療法認定薬剤師を目指し、取得し、維持することで緩和ケアチームにおける最適な薬物療法に貢献することができ、ひいては患者さんの生活の質向上に寄与することが可能となります。

緩和ケアチームの薬剤師は、病棟の薬剤師と連携をとりながら、緩和ケア領域における薬物治療の支援を行っています。具体的には個々の患者さんに合わせた鎮痛薬や向精神薬の提案・投与量の調節、そして副作用が生じた場合の対応等を薬学的な面からサポートしています。

http://www.jspm-peace.jp/data/v3_a/M2b_201612.pdf
PEACE projectより

緩和薬物療法認定薬剤師とは

緩和薬物療法認定薬剤師は一般社団法人 日本緩和医療薬学会によって認定される薬剤師資格です。緩和ケア領域の薬物療法等に一定水準以上の実力を有し、医療現場において活躍しうる薬剤師です。

  

【認定薬剤師の取得条件】

緩和医療薬学会に所属し以下に示すような条件(一部抜粋)を満たすことで取得できます。

  • 実務経験5年以上
  • 3年以上緩和医療に従事していること
  • 講習等を所定の単位以上(20単位/年かつ100単位/5年)履修していること
  • 学会発表を2回以上行っていること
  • 薬剤管理指導の実績について、30症例提示できること
  • 緩和薬物療法認定薬剤師認定試験に合格する

患者さんへ

「痛み」のみならず他様々な身体症状、心理的な問題、社会的問題はどのような検査をしても我々医師を含めたメディカルスタッフには知ることができません。患者さんの訴えが診断の近道となりますので些細な事でもお悩みがありましたら是非お近くのスタッフまたはがん相談支援センターにお声かけください。