こんにちは。府中病院の地域医療連携室です。地域医療連携室は、府中病院で「地域医療連携」のために必要な業務を行う部署です。「地域医療連携」とは、どういうものでしょう。私たちが医療をうけられる場所は、近所のかかりつけのお医者さんや、総合病院などさまざまです。大きな病院に軽症の患者さんが集中してしまうと、待ち時間が長くなったり、重症の患者さんの診療に十分な時間がかけられなくなったり、医療サービスが非効率になります。このような事態を防ぐために、患者さんが自分の病態に適した医療機関で医療サービスを受けることができるように、地域の医療機関と連絡を取り合って、調整したり支援したりする役割を担っているのが、府中病院の地域医療連携室です。
昨今の地域包括ケアシステムでは、住み慣れた住まいでの生活が維持できるように、地域ごとに様々な関係機関が連携することがますます求められています。
例えば、少し体調が悪い時、地域のかかりつけのお医者さんに相談しますよね。そこで、入院した方が良いと判断されると、総合病院に紹介され入院となります。もし退院後継続したリハビリテーションが必要となれば、回復期リハビリテーション病院に転院となり、ご自宅に退院してからも介護保険サービスを使ってさまざまな施設を利用したりします。
つまり、患者さんにとって本当の良い医療とは、府中病院における急性期医療に加え地域の様々な施設、医療職と連携することで達成できるのです。
私たちは、府中病院から飛び出し、地域のさまざまな医療機関の方々と協力して働くことで患者さん一人一人に最適な医療を提供していきたいと考えています。
この記事では私たちの現場の風景を通じて、地域医療連携の舞台裏を皆さんにお伝えしたいと思います。
盛りだくさんな内容ですが、最後まで見ていただけると嬉しいです。
病院における外交官?~府中病院の「地域医療連携」の舞台裏~
地域の医療機関との「顔の見える連携」を大切にしています。
では、府中病院の「地域医療連携」は具体的にどのように行われているのでしょう。
というようなご相談を受けることもあります。
そんな時、双方が顔を合わせた連携が取れていると、医師同士の話し合いで府中病院への受け入れがスムーズにすすみ、患者さんのメリットに繋がります。また同時に、府中病院で行っている診療や治療といった魅力の「発信」にも力を入れています。
なぜなら、かかりつけの診療所の先生が府中病院のことをよく知っていれば「この病気なら、府中病院にかかった方がよいですよ。」と患者さんの橋渡しになってくれるからです。
具体的には、地域の医療機関の医師と症例検討会、セミナーそして勉強会を開催し、学術的交流や連携を深める中で、当院で出来る治療や特性を知ってもらえる場を作っています。実際に、医療機関の医師から「紹介がしやすくなった」との声もいただくことがあり、“顔の見える連携”の大切さを実感しています。
地域の医療機関の医師と、当院の医師との合同症例検討会の様子
地域の皆さんが医療をスムーズに受けられるように地域を駆け巡っています。
一方で、私たちが足を運ぶのは医療機関だけではありません。私たち府中病院の地域医療連携室では、「出張講座」と銘打った健康に解する講演会を企画運営しています。
その目的は、地域の皆さんに健康に関する知識を提供させていただくことで、健康増進に役立てていただきたいと考えているからです。
具体的には、地域住民の皆さんからのご依頼をもとに、お住まいの地域の公民館や集会所、学校や企業に出向き、府中病院の医師、看護師、医療ソーシャルワーカー、事務員による講演をコーディネートさせていただいています。
例えば、『貴方は大丈夫?骨粗鬆症とロコモ』という講演では、年齢とも生じる身体の生理的な変化について説明し、できるだけ若い頃から食事や運動に気を配ることで骨密度の減少を抑えることが出来るという内容の講演を企画させていただきました。
出張講座の様子。たくさんのご参加ありがとうございました。
「深化」する連携~府中病院「地域医療連携室」医療の質改善への取り組み~
QC活動。医師や他職種と協働しながら、「医療の質」のさらなる改善に日々取り組んでいます。
府中病院の「地域医療連携室」は日々深化しています。
当法人では医療の質を高めるために、毎年QCサークル活動(品質管理活動)に取り組んでいます。法人内で取り組みを発表し、より優秀な活動には賞が与えられます。
ちょっとだけ自慢させてもらうと私たち地域医療連携室は令和元年度の取り組みにおいて法人内QC大会で「最優秀賞」をいただきました。
その内容について、少し紹介させていただきます。
病気の治療は早期発見が欠かせません。そのためには適切な検査を受けていただく必要があります。より精密な検査はクリニックなどでは難しい場合がありますので、府中病院へ紹介をしてもらい、当院で検査を行う必要があります。
しかし、かかりつけの医師が府中病院で出来る検査を知らなかったり、府中病院での検査の予約がスムーズに取れなければ、必要な検査が受けられなかったり、検査に何日もかかるなど患者さんに不利益を被る可能性が出てきます。
私たちは、府中病院の医師と協力し、1日で5つの検査を受けることができる「セット検査」のシステム構築にQC活動で取り組みました。その結果、地域の先生方は複数枚の紹介状を書く手間が省け、患者さんに対しては1時間で複数の検査を受けることができ、複数検査の施行で疾患の早期診断に繋げることができました。
このように地域医療連携を深めることは、病院、地域の医療機関そして患者さんにもメリットがあります。私たち地域医療連携室ではこのような革新的な取り組みによって、ますます連携を「深化」させ、地域の皆さんの健康に貢献していきたいと考えています。
地域医療連携のおもしろさ。それは「人とつながること」~熱い想いを秘めた府中病院「地域医療連携室」~
地域医療連携室ではチームワーク抜群な10人の事務スタッフが院内外を駆け巡っており、フットワークの軽さと人当たりの良さが自慢です。
少人数の部署ですが、地域の医療機関から患者さんの緊急受け入れの依頼がくると、病態や状況に応じて、当院医師や関連スタッフと連携し、迅速かつスムーズな患者さんの受け入れを行っています。
地域医療連携に関わる面白さは、患者さんや地域の医療機関の方、院内のスタッフをつなぐ窓口として、“人”と関われることです。
医師や看護師など様々な職種のスタッフと一緒に仕事が出来ることで、私自身も新しい出会いと気づきがあり、勉強の毎日です!
スタッフは全員「地域の医師や患者さんのために何とかお役に立ちたい!」と思っている気持ちがあり、医療の質の改善にも「熱い」人が多いです。
私たち地域医療連携室は病院業務が初めてだったスタッフが大勢います。
少しでもスムーズな患者さんの受け入れが出来た時は、チーム医療を支える一員としての喜びを感じ、やりがいにもつながる仕事です。
府中病院の地域医療連携室は、病院内にとどまらず地域の医療機関や地域の皆さんと一体となってよりよい医療の提供に取り組んでいます。
現状にとどまらず、日々少しでもよりよい「地域医療連携」に邁進していきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!