認定看護師を目指したきっかけ
心不全の経過は増悪と寛解を繰り返しながら終末期を迎えるという特徴があります。心不全が寛解し退院してもまたすぐに再入院してしまう患者さんと関わり、日々行っている看護に疑問を持ち、その疑問を解決することができずにいたとき、慢性心不全看護認定看護師の資格があることを知りました。当時一緒に働いていた集中ケア認定看護師の活動を近くで見ていたことも大きなきっかけとなりました。認定看護師の資格を取得する道のりは大変でしたが、抱いていた疑問を解決するための方法を学ぶことができました。
認定看護師としての役割
日常生活では、塩分や水分、活動などが制限される患者さんの療養生活は簡単ではありません。心不全患者さんやそのご家族が心不全という「病い」に折り合いをつけながら生活するためのお手伝いをすることが、慢性心不全看護認定看護師の役割です。また心不全看護の質向上のために、法人内や院内でのスタッフ教育も大切な仕事の一つです。
府中病院での活動
2017年に心不全ケアチームを立ち上げました。2020年からは心不全ケア委員会として、循環器内科医師、看護師、薬剤師、理学療法士、臨床心理士など多職種で構成されたチームで心不全地域連携パスの運用や心不全教育(ハートノート運用)、多職種カンファレンスの開催などをとおして、多くの課題に取り組んでいます。近年では心不全患者さんやご家族の思いを大切に看護へつなげるために、ACPを循環器医師やコメディカルと協働で行っています。
(ハートノート)
やりがい
再入院をせずに元気な姿で病棟に来てくださる患者さんの姿を見たときにやりがいを感じます。認定看護師の資格を取得したことで、日々の看護に疑問を持ち解決できなかった時とは違って、問題を解決するための方法を身につけることができたこと、同じ目標を持ち解決するための方法を一緒に考える仲間に出会えたことが私の活動の原動力になっています。上手くいかないことも沢山ありますが、そんなとき上司から言われた「認定看護師として、本当にやりたかったこと、それを忘れないように」という言葉を思い出すようにしています。
今後の目標
入院中の心不全患者さんやご家族に対しては、多職種による心不全チームとして関わりますが、退院後は、かかりつけ医や訪問看護師、ケアマネジャー、ヘルパーなど地域医療を担うスタッフの関わりが中心となります。認定看護師としては、入院中の経過や患者さんやご家族の思いを地域のスタッフにしっかりと伝え、退院後も双方向に情報提供することで、患者さんやご家族が安心して地域で暮らせるよう支援できる体制づくりに向けた活動をしていきたいと考えています。
(心不全センター 花谷センター長)