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心臓血管外科の診療内容

ベルランド総合病院との連携により、心臓血管外科専門医が毎週土曜日の午前に、外来診療のみ(完全予約制)を行っております。

当院では、冠状動脈バイパス手術などの術後フォロー、閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤などの疾患を外来診療のみにて取り扱っています。

成人病の大きなリスクファクターは、肥満、車社会による運動不足、喫煙、加齢などです。成人病予防は運動(歩行や体操)を積極的に行い、無理をせずに長期に継続し、末梢循環を良くさせて、老化や動脈硬化を防ぎましょう。糖尿病、高血圧や高脂血症を合併していると動脈硬化はさらに進行します。

健康診断で高血圧、不整脈(脈拍の乱れ)、コレステロールの高値、心臓肥大などを指摘されたら、症状がなくても専門医に積極的に診てもらうことが大切です。高血圧が持続すると心臓、脳(脳梗塞)や腎臓に障害が現れます。冠状動脈(心臓を養う血管)の動脈硬化が進行して、狭窄をきたすと狭心症、閉塞すると心筋梗塞となります。階段を登っている時やゴルフ中に胸痛が現れたら、循環器内科を受診し、精密検査(核医学検査、心臓カテーテル検査など)を必ず受けましょう。内科治療として冠状動脈も狭窄部を拡大します(経皮的冠動脈形成術、ステント挿入)。

内科治療が無理な時は直接心臓外科で冠状動脈バイパス手術を行います。人工心肺装置の不適合な重症疾患を合併している場合でも体外循環を使用せずに冠状動脈バイパス手術を行います(off-pump CABG)。また在院日数の短縮、切開創の縮小を意識して低侵襲の冠状動脈バイパス手術を行います(MID‐CAB)。

心臓には4個の弁(僧帽弁、大動脈弁、三尖弁、肺動脈弁)があります。近年弁の変性疾患が増加しています。僧帽弁形成術も積極的に行っています。各患者さんに最適な金属弁や生体弁(フリースタイルも含む)を選択しています。

胸部や腹部(真性)大動脈瘤

無痛性であり、胸部レ線写真やCT、MRIなどで偶然指摘されます。突然破裂することがあり、放置することは絶対できません。解難性大動脈瘤は突然激しい胸痛や背部痛を伴います。緊急を要し、救急車で来院し、精密検査の上で手術適応を早急に決定する必要があります。

閉塞性動脈硬化症

歩行時下肢の筋肉の疼痛、冷感、足先の皮膚や爪の蒼白、紫色変化などの症状が現れ、超音波ドップラーや血管造影(外来でのMRIアンギオで対応可能)で狭窄や閉塞部位を確認し、人工血管に置き換えます。突然動脈が閉塞すれば、緊急で血栓除去を行います。

下肢静脈瘤

静脈の怒張と蛇行が現れ、下肢の倦怠感、鈍痛、緊張感を訴え、進行すると色素沈着、湿疹や皮膚潰瘍を形成します。弾性ストッキングを着用し改善がなければ、硬化療法や静脈抜去術を行います。大腿深部静脈血栓は肥満、高脂血症、長期臥床などで発症しやすく、下肢が腫れます。まれに血栓がはがれ、肺の血管につまると突然呼吸困難が現れ、肺塞栓症を引き起こします。

心臓血管外科の診療内容

主として冠状動脈バイパス手術や弁膜症手術などの術後フォロー、閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤などの疾患を外来診療で行っています。外来は火曜日(午後)、土曜日(午前)に行っています。

当科はベルランド総合病院 心臓病センター(心臓血管外科・循環器内科)と緊密な連携を保って診療を行っております。心疾患はもとより末梢血管疾患に至るまで循環器内科、心臓血管外科の両面から治療法を検討し、患者さんに安全で最も侵襲の少ない治療法を選択し提供しています。

下記手術をベルランド総合病院で行います。

1.心臓手術

虚血性心疾患に対する冠動脈バイパス術(人工心肺を使用しない心拍動下手術を含む)や急性心筋梗塞後の心室中隔穿孔・左室自由壁破裂の修復術。弁膜症に対する弁置換術・弁形成術。心房中隔欠損症などの成人期に発見された先天性心疾患手術。心臓腫瘍や収縮性心膜炎に対する手術。不整脈に対するメイズ手術。

近年心臓血管外科手術では 高齢化のため老人性大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症などの変性弁膜疾患が増加傾向で、弁膜症手術の増加を認めます。大動脈弁狭窄症に対する弁置換術ならびに僧帽弁閉鎖不全症に対する弁形成術を行い、小切開手術(MICS)を行っています。2017年5月から大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)を100例以上施行しています。

2.大動脈手術

胸部・腹部大動脈瘤や急性大動脈解離(解離性大動脈瘤)に対する人工血管置換術。2014年7月から腹部大動脈瘤に対するステントグラフト手術(EVAR)。2015年4月から胸部大動脈瘤に対するステントグラフト手術(TEVAR)。

ステントグラフト手術は低侵襲手術であることから、高齢者や合併症のため開胸・開腹手術による人工血管置換術が困難な例に対しても大動脈瘤の破裂を予防する手術が可能と考えられます。また、従来は内科的治療が主であったStanfordB型の急性大動脈解離に対してもステントグラフト手術(TEVAR)を行っています。

3.末梢血管疾患に対する手術

慢性動脈閉塞に対する血行再建術(人工血管または自家静脈による下肢動脈バイパス術や血栓内膜摘除術)。急性動脈閉塞に対する外科的血栓除去術。下肢静脈瘤に対して日帰り手術で血管内レーザー焼灼術やストリッピング術。

最後に、患者さんの高齢化とともに、心臓以外の疾患も有する患者さんが増加しつつあります。府中病院は多くの診療科を有する総合病院であり、種々の合併症を有する患者さんにとっても、総合的な治療を提供することが可能であり、他科と連携し安全な治療を行っています。

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スタッフ紹介

森崎 晃正
森崎 晃正
心臓血管外科/部長
山根 心
山根 心
心臓血管外科/医長
非常勤医師
南村 弘佳ベルランド総合病院 心臓病センター センター長
馬場 俊雄ベルランド総合病院 心臓病センター 心臓血管外科 主任部長