当院では、ロボット手術・腹腔鏡下手術・胸腔鏡下手術を行い、手術における傷をできる限り小さなものにし患者さんが早期に社会復帰できる医療をめざし、低侵襲手術に積極的に取り組んでまいりました。2008年頃から内視鏡下手術を取り入れ、泌尿器科手術、消化器外科手術、婦人科手術の分野で多くの実績を積み重ねております。

ロボット手術は、ダヴィンチという最先端の手術支援ロボットを使用しています。1~2cmの小さな創より内視鏡カメラとロボットアームを挿入し、高度な内視鏡手術を可能にします。術者は3Dモニター画面を見ながらあたかも術野に手を入れているようにロボットアームを操作して手術を行います。2016年から泌尿器科が開始し、消化器外科、婦人科も加わり2023年5月末の時点で775件の手術を行っています。2021年1月から「ダヴインチSi」にかわり、新機種「ダヴィンチXi」を導入しました。

2021年4月、ロボット手術センターを設立し始動しました。“患者さんに優しい医療(安全で身体に負担の少ない機能温存をふまえた手術)”を提供するため、常に新たな技術を追い求めていきます。ロボット手術の詳細を知りたい方は、各部位担当外来までご連絡ください。

ダヴィンチとは?

ダヴィンチの特徴

ダヴィンチ担当

ダヴィンチチーム

ダヴィンチ手術の実績

ダヴィンチに関するQ&A

ダヴィンチに関するお問合せ

ダヴィンチとは?

ダヴィンチは、従来の腹腔鏡手術と同じように、いくつかの小さな切開部を作り、手術医の操作に従って内視鏡・メス・鉗子を動かして手術を行う内視鏡手術支援ロボットです。

「サージョンコンソール」とよばれる操縦席に座り、3D画像を見ながら手元のコントローラーを操作します。

「ペイシェントカート」の4本のロボットアームにその動きが伝わります。

「ビジョンカート」のモニターに手術中の画像が映し出され、手術スタッフも同じ画像が共有されます。

ダヴィンチの特徴

1.体への負担が少ない

切開部分が小さくてすむために、傷が少なく、出血も抑えられます。

2.鮮明な3D(3次元)画像

コンソールモニターには高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの手術画像が映し出されます。

3.精密な動きを再現

医師がロボットアームに装着されている鉗子やメスを操作します。

ダヴィンチの鉗子はリスト構造を持ち、人間の手より大きな可動と手ぶれ補正機能を備えています。

4.低侵襲ロボット支援手術の実績

ダヴィンチは今日までに世界中で約250万件(2015年時点)のさまざまな外科的手術で使用されてきています。

ダヴィンチ担当

府中病院泌尿器科では、悪性腫瘍(前立腺がん、膀胱がん、腎がん、腎盂尿管がん)を始め、前立腺肥大症、尿路結石症といった一般泌尿器科疾患や慢性腎不全についての血液透析や腹膜透析などの治療を行っています。

その中でも、当院は大阪府がん診療拠点病院として悪性腫瘍に対する治療を積極的に行っています。特に、前立腺がん、腎がん、腎盂尿管がんの手術件数が増加し、鏡視下手術による低侵襲手術を推奨しています。

そして、低侵襲手術支援ロボット「ダヴィンチ」を導入し、2016年6月からは前立腺がんに対してロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術(RALP)を開始し、2017年10月からは腎がんに対してロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術(RAPN)を開始、2019年8月からは膀胱がんに対してロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘術(RARC)を開始いたしました。

患者さんにとって、より安全で体に負担の少ない、機能温存を踏まえた手術を提供していきたいと考えています。

(※症例によってはダヴィンチ手術の適応外になる場合がございます)

  • 日本泌尿器科学会 専門医・指導医
  • 日本泌尿器内視鏡学会 腹腔鏡技術認定医
  • 日本内視鏡外科学会技術認定医
  • 日本泌尿器内視鏡学会 代議員
  • 日本泌尿器内視鏡学会 泌尿器ロボット支援手術プロクター認定医
  • 日本透析医学会 専門医・指導医・評議員
  • ロボット(da Vinci)手術認定医
  • 日本ロボット外科学会 Robo-Doc Pilot認定 国内A級

  • 日本泌尿器科学会 専門医・指導医
  • 日本泌尿器科学会/日本泌尿器内視鏡学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医
  • ロボット(da Vinci)手術認定医
  • 日本泌尿器科学会 専門医・指導医
  • 日本透析医学会専門医
  • 日本泌尿器内視鏡学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医
  • ロボット(da Vinci)手術認定医
テクニカルアドバイザー

吉岡 邦彦

板橋中央総合病院

特任副院長/ロボット手術センター長/泌尿器科診療部長

東京医科大学 泌尿器科学教室 兼任教授

慶応義塾大学 泌尿器科学教室 非常勤講師

島根大学医学部 泌尿器科学教室 嘱託講師

●大阪公立大グループ医師のサポート体制

泌尿器科

当科の診療科紹介と外来担当医表はこちらからご覧いただけます。

2017年9月胃がん、2018年6月直腸がんに対するロボット支援手術開始

近年さまざまな消化器外科手術において、従来の開腹手術から腹腔鏡下での低侵襲手術へと変換されつつあります。開腹手術と比べて、腹腔鏡による手術の利点は、より早い術後の回復および社会復帰、より短い入院期間、術後の痛みが軽い、小さな傷になるので美容上の美しさなどが挙げられます。しかし腹腔鏡下手術では、奥行き感の少ない二次元の画面あるいは奥行き感が強調されすぎる三次元の画面、長くて関節機能がない鉗子、手振れなど複数の限界点があり、開腹術と比べて技術的困難性が高くなります。手術支援ロボット「ダヴィンチ」では、術者は「自然な奥行き感が得られる三次元による立体的で正確な画像」を見ながら手術することができ、また手ブレ防止機能と術者の思った通り自由に曲がる多関節鉗子で、腹腔内の複雑で細やかな手術手技ができます。

ダヴィンチを用いた手術の詳細を知りたい、またはその手術をご希望になられる方は、当院外科外来までご連絡ください。

ロボット支援下手術により、狭い空間でも緻密かつ安全な手術が可能となりました。それは、拡大視効果とロボットアームに装着した器機の高い可動性操作が可能となったからです。
上部消化管領域では、胃がんと食道がんが対象になります。この領域でのロボットの具体的なメリットの例を以下に説明いたします。
  
1.膵臓へのダメージが少ない
胃がん手術の際に、胃の裏にある膵臓の周りのリンパ節をとる(郭清といいます)必要がありますが、これまでの開腹手術や腹腔鏡手術と比べて、ロボットの手が直角に曲げることができるため、膵臓を抑えることなくリンパ節郭清が可能となります。よって術後の膵臓関連の合併症発生が少なくなります。
  
2.食道胃接合部にできるがんの手術が容易になりました
食道は胸腔内にあり、胃は腹腔内にあります。最近、食道と胃の境界部(食道胃接合部といいます)にできるがんが増えてきました。この境界部は、腹側から見ると一番奥になります。これまでの直視下に行う開腹手術や腹腔鏡手術では術野が狭く食道を十分に切除することが困難であり、胸を開けて手術を行う必要がありました。一方、ロボット手術では、拡大視効果と安定した術野展開が得られますので、多くの食道胃接合部がんでは腹側から手術が可能となりました。
  • 日本外科学会外科専門医・指導医
  • 日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医
  • 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医・専門医・指導医
  • 日本内視鏡外科学会技術認定医(胃)
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • ロボット(da Vinci)手術認定医
  • 医学博士
ロボット手術は、最新のロボティクス技術と外科手術の融合です。
  
大腸領域では、直腸がんに続いて、2022年から結腸がんにも適応が拡大されました。ロボット手術と聞くと、AIがロボットを操作して、かってに動くのではと不安を抱かれる患者さんが少なくありません。しかし実際は、外科医がロボットアームを操作し、微細な動作を行います。この高度な制御により、正確な手術が可能となります。特に、直腸がんの手術では、開腹手術や腹腔鏡手術を圧倒するメリットが得られます。手術創が小さく、術後の回復期間の短縮、出血量の低減など、安全で効果的な手術が可能となりました。
  
私たちのロボット手術チームは、長年の経験と専門知識を持つ外科医や看護師、臨床工学士などから成り立っています。患者さん一人ひとりに合わせた最適な治療計画を立て、安全かつ効果的な手術を提供することをお約束します。また、私たちは患者さんとのコミュニケーションを重視しています。手術前には詳細な説明と質問への回答を行い、不安や疑問を解消します。手術後も丁寧なケアとフォローアップを行い、患者さんの回復をサポートします。
  • 日本外科学会 外科専門医・指導医
  • 日本消化器外科学会 消化器がん外科治療認定医・専門医・指導医
  • 日本大腸肛門病学会専門医・指導医
  • 日本内視鏡外科学会 技術認定医(消化器・一般外科)
  • 日本内視鏡外科学会 ロボット支援手術プロクター
  • 日本内視鏡外科学会 評議員
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • インフェクション・コントロールドクター
  • 日本病態栄養学会認定NST研修修了
  • 医学博士
お箸で豆をつまむより、直接手でつまむ方が簡単です。
壊れそうな古墳の発掘作業をするなら、30㎝の棒を使いますか?直接手を使いますか?
おそらく手を使う方が細かな作業ができます。
目が悪い?
だとしても、高精度の3Dカメラで見ればより鮮明に見えます。
長時間の手術は疲れます。人間はくたびれます。でも、ロボットは疲れません。
  
以上がロボット手術のメリットと考えています。一方で、デメリットは触覚がないことと言われていますが、慣れてくればまるで触っているような感覚が芽生えてきます。
腹腔鏡手術では棒状の手術器具を用いて行われます。傷が小さくて済むのは良いことです。でも、それら器具の先端は曲がりません。この「曲がらない」が、肝胆膵領域では困ります。なぜなら、肝胆膵領域の臓器は、周囲が固定されている臓器ですので、切除する臓器(相手)を十分動かして角度を変えることができないのです。
一方で、ロボット手術で使う器具は人間の手よりもよく曲がります。自分の手が曲がるから、臓器(相手)を大きく動かす必要がないのです。
我々の領域は危険を伴う手術が多くあります。少しの「やりにくさ」が、危険な状況となります。
でも、より簡単に、より丁寧になる、これがロボット手術の未来であろうと思っています。
  • 日本外科学会 認定医・専門医・指導医
  • 日本消化器外科学会 消化器がん外科治療認定医・専門医・指導医
  • 日本肝胆膵外科学会 評議員・高度技能専門医
  • 日本胆道学会認定指導医
  • 日本膵臓学会認定指導医
  • ロボット(da Vinci)手術認定医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 近畿外科学会 評議員
  • 医学博士

外科センター

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2020年7月、婦人科疾患領域に対するロボット支援手術開始

子宮脱・膀胱瘤など骨盤臓器が下がってくる状態を骨盤臓器脱(pelvic organ prolapse: POP)と総称しますが、府中病院の婦人科では2019年12月から腹腔鏡を用いたメッシュで矯正する手術を行っており、現在は腹腔鏡またはロボット支援下で対応しております。また、子宮筋腫などで子宮を摘出する必要がある場合もロボット支援下手術の適応となります。
  
“ロボット手術”と聞くと少し違和感があるかもしれませんが、従来の腹腔鏡手術に補助機材を加えることで、手振れがなく執刀医の動きをより正確に再現できるようになったとご理解ください。
  
特に婦人科の手術は骨に囲まれた骨盤という狭いスペースの中で手術することが多いので鉗子の先に関節がついているということも大きなメリットになり、周囲の臓器に干渉することなく骨盤の深くまで手術を正確に行えるメリットがあります。ロボット支援下手術は日本内視鏡外科学会の技術認定医、かつ所定のロボット手術トレーニングを終了した医師が担当しております。

  • 日本産科婦人科学会専門医
  • ロボット(da Vinci)手術認定医
  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会専門医
  • 日本内視鏡外科学会技術認定医(産科婦人科)
  • 日本産婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医
  • ロボット(da Vinci)手術認定医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医

婦人科領域担当(非常勤医)

西岡 嘉宏

  • 日本産科婦人科学会 専門医・指導医
  • 日本臨床細胞学会 細胞診専門医・指導医・教育研修指導医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • 日本婦人科腫瘍学会 婦人科腫瘍専門医・指導医
  • 日本産科婦人科内視鏡学会 技術認定医
  • 日本内視鏡外科学会 技術認定医
  • 日本東洋医学会 漢方専門医
  • 日本ロボット外科学会Robo-Doc Pilot認定(国内B級)
  • ロボット(da Vinci)手術認定医
  • 婦人科 da Vinci 支援手術教育プログラム修了
  • 医学博士

婦人科

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ダヴィンチチーム

麻酔科医

ダヴィンチ手術は全身麻酔で管理します。

麻酔科専門医が常時監視し、安心、安全に手術を受けられる環境づくりに努めています。

  
手術看護認定看護師

ダヴィンチ手術のメリットが最大限に発揮され、皆さんが安心して安全な手術を受けられるよう手術環境を整えています。気になることや不安に思うことは遠慮なくお声かけください!

  
臨床工学技士

「安心・安全な医療機器の運用」様々な医療機器が病院内で使用される現在、私たち臨床工学技士が常に心掛けている理念です。高度な技術の結集であるダヴィンチ手術においても安心・安全を目指して機器管理面をサポートしています。

ダヴィンチ手術の実績

<部位別実績>
部位2016年度2017年度2018年度2019年度2020年度2021年度2022年度2023年度合計
前立腺3140425836375239335
腎臓4916151510675
膀胱7934326
尿管123
10232019232515135
直腸23193335139132
結腸12517
膵臓426
肝臓11
子宮脱・膀胱瘤1433311997
子宮筋腫11110931

※2023年度は2023年4月~2023年12月の実績

ダヴィンチに関するQ&A

Q1.入院期間はどれくらいですか?

患者さんの状態によって変わりますが、約10日程です。

Q2.費用はどれくらいですか?

健康保険が適用されますので、高額療養費制度を利用することで負担を少なくすることができます。費用についての詳細は西館1階のAIF総合相談センターまたは総合受付にてお問い合わせください。

Q3.ロボットが手術するのですか?

ダヴィンチ手術は、認定資格を取得し、トレーニングを積んだ医師によって行われます。医師をサポートするのがロボットの役割で、ダヴィンチ自身が勝手に動作することはありません。医師がロボットを活用し、より精緻に行う手術です。

ダヴィンチに関するお問合せ

〈一般の方〉
泌尿器科または外科または婦人科外来
月~金曜日(祝日除く) 午前9時~午後5時
0725-43-1234
〈医療関係者の方〉
地域医療連携室
月~土曜日(祝日除く)午前9時~午後5時
0725-40-2147
0120-40-2147[予約専用フリーダイヤル]
0725-40-2148

ダヴィンチ手術に関するオンライン相談

ダヴィンチ手術対象疾患【前立腺がん、腎がん、膀胱がん、胃がん、直腸がん、膵臓がん、骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤)、子宮筋腫】に関することでお悩みの方に対して、専門の医師が無料でオンライン相談を行います。
  
※ご本人、ご家族の方でもご相談できます。
※ 完全予約制

注意事項

  • 患者さん個人の心身の状態に応じた必要な医学的助言は行えませんので、診断、治療方針の決定などはできません。
  • 完全予約制です。お一人最長15分とさせていただきますのでご了承ください。
  • 申し込みは、希望日の2週間前までにお願いいたします。 ※ご希望に添えない場合がありますのでご了承ください。
  • 通信料・通話料は患者さんのご負担となります。
  • 個人情報保護に関する基本方針

ご相談時間(疾患別)

対象疾患名相談曜日時間対応診療科対応医師
前立腺がん金曜日16:00~17:00泌尿器科播本幸司
膀胱がん
腎臓がん

対象疾患名相談曜日時間対応診療科対応医師
前立腺がん
金曜日
※応相談
16:00~17:00
※応相談
泌尿器科
播本 幸司
西川 德彰
岡村 太裕
膀胱がん
腎臓がん
胃がん月曜日15:00~16:00外科センター田中 浩明
直腸がん月曜日14:00~15:00外科センター野田 英児
膵臓がん火曜日16:00~17:00外科センター山添 定明
骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤)
子宮筋腫
水曜日10:00~11:00婦人科木下 弾
木曜日10:00~11:00山﨑 亮

お申し込み手順

お問い合わせフォーム
  1. 下記の「お申し込みフォーム」で必要事項入力後、フォームを送信してください。
ご予約確認
  1. 当院にてメールの内容を確認後、相談員からメールまたはお電話にてご連絡いたします。今後の流れに関するご案内や、招待メール(URL)のお知らせをさせていただきます。

    ※内容によっては、メールまたはお電話にて完結となり、オンライン相談の対象外となる場合がございますので、ご了承ください。