医師

最も効果的な治療が継続できるようチームをまとめる監督

心不全チームの目的は、患者さんが健やかな日常生活を送れるようサポートすることです。その為に医師はチームの中で、多職種の意見をまとめる監督のような役割をしています。個々の患者さんの病状を評価し、治療方針を決定しますが、その治療を効果的に行うにあたり問題点が無いか、他の専門職種から意見を聞きながら進めていきます。また、心不全の原因や症状、治療方法について説明しますが、特に心不全の治療では、長期にわたる適切な自己管理が重要です。それらに関する多職種の指導がなぜ必要なのかを病状や症状を交えて説明し、心不全治療の全体像を理解し、実践出来るようサポートします。

看護師(病棟)

病棟看護師は、患者さんに一番近い存在として、入院中、息苦しさやしんどさなどの身体的な症状や、不安や不眠など精神的・身体的な苦痛に対して、少しでも緩和できるような支援を、医師や薬剤師など多職種と協働して行っていきます。心不全は良くなったり悪くなったりを繰り返すごとに、身体的な機能が低下するため、心不全が悪くならないよう、ハートノートを使って、患者さんやご家族の方へ心不全教育を行います。心不全という病(やまい)と上手く付き合いながら日常生活を送ることができるようお手伝いさせていただきたいと考えています。病棟には、心不全を専門とする看護師、「慢性心不全看護認定看護師」が在籍しています。

看護師(入退院支援)

退院に向けての不安の緩和や生活上の問題の解決に対してのサポートを行います

府中病院は、高度で専門的な医療を提供する「急性期病院」の役割を担っています。心不全急性期の治療が終了し慢性期治療へ移ると、患者さんの生活の質を維持するためにも早期退院を目指しています。

退院支援看護師は、退院後の療養生活を見据えて、医師や病棟看護師・医療ソーシャルワーカー・薬剤師・理学療法士・栄養士等と連携しながら、早期退院に向けた支援を行い、退院後の療養生活がスムーズに送れるようにサポートします。心不全という病気を抱えながらその人らしく生活していくために、患者さんやその家族の気持ちを尊重した意思決定や療養生活への支援を行います。

薬剤師

薬が効いているか、薬で問題が起きていないか確認しています

薬剤師はその名の通り、薬の専門家です。

薬が期待した効果をだせているか、薬で問題が起きていないか確認しています。

心臓が悪くなった分、その働きを助けているのが薬です。主な効果などは別のページで順次ご紹介していきますが、あくまで「助けている」のであって、「治してはいない」のです。ですから、飲み続けることが大切です。「もうしんどくないから」とやめてしまわれる方もいます。これは大問題です。元の木阿弥どころか、前より悪くなってしまうこともあるからです。ですから、できるだけわかりやすく、どうしてこの薬が必要なのかと伝えていくこともまた、薬剤師の仕事です。

また、薬を飲み続けるのを妨げる環境がないかなと思ってお話を聞くようにしています。数がたくさんあって管理しきれない、飲み込みにくい大きな錠剤がある、生活習慣と内服のタイミングがあわないなど様々なお話を伺います。全ての事情に対応できるわけではありませんが、できることがないのかなと知恵を絞っています。

必要な薬を、きちんと飲み続けることができ、結果として心臓が悪くならないように治療を継続できるよう、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

理学療法士(リハビリ)

動作のスペシャリストであり、患者さんの心臓や身体の状態に合わせた運動を行う“運動の専門家”

理学療法士は身体に障害のある方に対し、主に基本的動作能力(起き上がり、立ち上がり、歩くなどの動作)の回復を目的に運動療法などを行います。

心不全患者さんは心臓のはたらきが低下しているだけでなく、筋肉の萎縮や筋力の低下が起こっている傾向があるため、安全かつ効果的に行うために患者さんごとに適した運動量や方法を決めていくことが重要です。心不全などの心疾患を有する方へは心電図モニターや血圧等を確認しながら運動療法を行っています。具体的には、①入院後症状が強い場合は、ベッドで寝たきりとならないよう状態に合わせた離床・運動プログラムの作成・実施と、②症状改善後や退院前後は、各個人に合わせた運動プログラムの作成・実施と運動指導が主体となります。
運動プログラムは主として有酸素運動(エルゴメーターや歩行)と筋力トレーニングに分けられます。患者さん一人一人の状況をしっかりと見定めて、心臓に負担をかけず足腰の筋力や体力の低下を予防できる運動療法を実施・指導し、退院後の生活に安心して戻れるよう支援しております。

管理栄養士

食事を通して治療の支援をします

管理栄養士とは、食の専門家です。

生活の中で欠かせない食事ですが、心不全治療を進めていくうえでも重要になります。入院中の食事の中に含まれる栄養に関しては、管理栄養士がエネルギー、塩分や野菜量など細かく計算して調整しております。

心不全の進行による食欲の低下、加齢による食事摂取量の不足や身体活動量の低下は病状の悪化をもたらします。そのため、食欲がない場合にはしっかりと必要な栄養が取れるよう食事の調整なども行っています。

食事療法においては、入院中だけでなく退院後の塩分・水分管理が重要です。心不全悪化を防ぐための食事療法が継続できるように、入院中に個々の食生活に合わせた栄養管理と栄養指導を実施します。必要に応じてご家族の栄養指導同席も可能です。また、ご希望に応じて退院後についても食事指導を継続させていただきます。

放射線技師

病院のカメラマンが心臓の状態を写真にします!

放射線技師といえば、レントゲンや胃のバリウム検査、X線CT、MRIの検査をする専門家を想像される方が多いかと思います。近年、ドラマ「ラジエーションハウス」でも我々の仕事が大きく取り上げられ注目を集めています。心不全に対して行う検査の1つにMIBG交感神経シンチという放射性医薬品(RI)を使用した検査があげられます。RIを投与した後、午前と午後の2回心臓の写真を撮像し心不全の状態を評価します。検査に対する質問があればご遠慮なくお聞きください。

社会福祉士

退院後の生活を、社会福祉の視点からサポートします!

医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)は、保険医療機関において患者さんやご家族が抱える悩みや心配事を伺い、その問題の解決を図るため、他の医療機関や在宅生活を支える関係機関との連携調整を行う職種です。

病気になると、足腰が弱って歩行が不自由になったり、これまで問題なく出来ていた家事が難しくなる方も少なくありません。そういった方が再び住み慣れた自宅で生活できるよう、介護サービス等を整えるお手伝いをさせていただきます。また、急性期病院の短い入院期間の中で日常生活動作が改善しない場合は、リハビリを継続できる施設を一緒に検討させていただきます。

心不全に関しては完治する病気ではないため、退院=ゴールではなく、退院した後も長く自宅で過ごせるような生活の体制を整えることが大切です。訪問介護(ヘルパー)を利用することで、家事による心臓への負担を減らしたり、訪問看護師による日々の健康観察で、心不全が悪化した際、早期に発見、受診に繋げることができれば、再入院を防ぐことができるかもしれません。

ご本人やご家族の不安に寄り添い、その人らしい生活を送るためのお手伝いが出来たらと考えています。

公認心理師 臨床心理士

患者さんやご家族のお気持ちを、ともに整理していく“こころの専門家”

公認心理師・臨床心理士(カウンセラー)は、心理学の知識と技術を用いてこころの問題を扱う専門家です。病気を患うと、身体的な苦痛(呼吸苦、浮腫など)だけではなく、精神的・心理的な苦痛(不安、不眠、気分の落ち込みなど)も伴います。こころとからだは、自転車の両輪のようにお互いが関連し合っており、どちらか一方のバランスが崩れると、もう一方もうまく働かなくなってしまいます。例えば、不安や心配事が多くて思い悩む、イライラするなどの精神症状があると、心拍数や血圧が上がり、心臓に負担をかけることにも繋がります。また、心不全患者さんの中には、病状が悪化して身体的な苦痛が強くなると同時に、不安や抑うつ症状(気分が落ち込む・不眠・食欲がわかないなど)も出現することが、多くの調査・研究で指摘されています。心理師(心理士)は、患者さんの悩みやつらさを伺い、ともに解決策を考え、気持ちの整理ができるようにお手伝いをしています。また、こころとからだが少しでもリラックスできるように、リラクセーション法(呼吸法:呼吸を整えてリラックスする方法、漸進的筋弛緩法:身体の緊張や筋肉のこわばりを和らげる方法、など)を取り入れています。不安や悩みを“ゼロ”にすることよりも、それらとどのように付き合っていくか、どうしたら悩みやつらさを和らげることができるか、その方法を患者さんとご家族とともに探っていけたらと考えています。

事務員

医療従事者を支える縁の下の力持ち

事務は医事課や地域医療連携室など、さまざまな機能に分かれております。

医事課においては、患者さんの診療費の計算や診療報酬請求を行っております。入院費に関しては高額になることも多いため、高額医療費免除の申請方法や公費医療の案内の説明も行い、患者さんに寄り添った対応を心掛けております。

心不全チーム内での役割としては、心不全患者数の統計を行っており、入院期間の平均日数や再入院数の件数を調べ、チーム内で共有しております。

地域医療連携室においては、ハートノート普及のための広報活動、患者さんの受診日調整、セミナーの企画運営などを行っています。近年では心不全患者数が毎年増加しているため、傾向を把握し近隣地域の医療機関と円滑に連携できるよう貢献していければと思います。

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