ご存知ですか?

お口の中には、約1億個(1mgの歯垢中)の細菌がいます!
口の中を清潔にしておくことで、手術後の感染症や合併症の予防に繋がります。
当院では、手術前や治療前にお口の状態を確認し、歯科受診のご案内をさせていただいています。

手術との関係

口腔ケアや歯科受診することで、全身麻酔時の気管内挿管の際に歯の損傷リスクを減らすことができます。また、手術前に口腔内の細菌を減らすことで、術後創部の感染や肺炎を起こすリスクを減らすことに繋がります。口腔環境を整えておくことで、術後の食事開始がスムーズにでき、回復過程を助けます。

抗がん剤治療との関係

抗がん剤により口腔粘膜炎や口腔カンジダ症、顎の骨のトラブル予防に繋がります。口腔粘膜炎や歯周病の炎症が悪化すると、やむなく抗がん剤治療の中止が必要となる場合もありますので、常にお口の中を清潔に保ち、口腔粘膜炎による疼痛や出血を最小限にとどめましょう。

放射線治療との関係

口腔ケアをすることで、治療中~治療後に細菌やカンジダ(カビの一種)がお口の中で繁殖するリスクを下げたり、歯周病の悪化を和らげたりすることができます。放射線が当たった顎の骨は治療終了後も感染を起こしやすく、抜歯が困難になるため治療開始前後に歯科受診することが必要です。

手術前に口腔ケアを行った場合と行わなかった場合では?

参考:大田洋二郎:がん治療による口腔内合併症の実態調査及びその予防法の確率に関する研究

口腔ケアによる肺炎発症率は?

参考:米山武志義他:日本歯科医学会誌,20,58-68,2001

基本的な口腔ケア方法

1.歯ブラシの選び方
  • 小さめのヘッド(前歯2本分くらいの大きさ)でやわらかい毛のものを使いましょう。
  • 取り換え時期は1ヶ月に1回(感染しやすい状態のときは1週間に1本程度)、毛先が広がっていなくても毛の弾力が弱くなっています。
  • 歯ブラシが濡れていると、菌が繁殖しやすい状態になるため、使用後の歯ブラシは流水でしっかり洗い、よく乾燥させて保管しましょう。
2.ブラッシング方法
  
基本的に歯ブラシは力が入りすぎないように鉛筆持ち(ペングリップ)にしましょう。
  • 歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの間にあてて、歯ぐきを痛めないように、1~2本ずつ丁寧に磨きます。
  • 表側の正面と左右、裏側の正面と左右の6つの方向から1本ずつ丁寧に磨いていきます。
  • 噛み合わせ面は毛先をぴったり当てて、細かく動かします。
  • ブラッシングの順番を自分のしやすいように決め、いつも決まった場所から1つの歯も残さないように、丁寧に磨きます。特に上下の前歯や歯の裏側は、磨き忘れてしまうことが多いので、鏡を見ながら歯ブラシを当てる場所を意識して磨きましょう。

歯ブラシの持ち方

3.磨きにくい部分の磨き方
  • 歯と歯の間は歯ブラシの毛先を歯間に挿入するようにして磨く方法があります。デンタルフロスや歯間ブラシなどヘッドの小さいブラシを使用すると磨きやすくなります。
4.舌のケア方法
舌の上に白色または黄色のコケのようなものがつくことがあります。これは死んだ細菌やはがれた細胞、食物の残りかすです。
うがいだけでは取り除くことができないので、舌ブラシなどで除去しましょう。
  • できるだけ舌を前に出し、気持ちが悪くならない程度に舌の奥までブラシを入れ、奥から前に向かって軽い力で動かします。
  • 舌に保湿剤を塗り、保湿後に磨くと効果的に除去できます。
5.義歯のお手入れ方法

入れ歯は必ず流水下で行い、歯磨き粉をつけずに磨きましょう。

STEP1 簡単磨き

①流水下で、入れ歯についている食べかすやヌルヌルとした歯垢のかたまりなどを洗い流す。

STEP1 簡単磨き

②汚れがある程度取り除けたら、入れ歯専用ブラシを使い、ヌルヌルがなくなるまで磨く。

STEP2 義歯洗浄剤

③入れ歯の保管用容器にお水と義歯洗浄剤を入れて、入れ歯を浸す。

STEP3 念入り磨き

④流水下で、入れ歯ブラシを使用して、入れ歯洗浄剤のお薬成分や、浮き上がったヌルヌルをしっかり磨いて洗う。

入れ歯は滑りやすいので、万が一落としてしまっても割れないように、入れ歯を手に持って磨く時は必ずお水を張った洗面器などを用意しましょう。

参考:https://www.kokucare.jp/