認定看護師を目指したきっかけ

私は、外科・婦人科、血液内科病棟で、病気の診断から治療期、再発・終末期に至る患者さん・ご家族と関わる中で、たくさんの悩みや苦悩の場に立ち会ってきました。患者さん・ご家族の抱える苦痛は様々であり、全人的苦痛に対する緩和ケアがもっと一般病棟で行われるべきだと感じました。そこで、緩和ケアにおける専門性を学びたいと思い、認定看護師を目指しました。

認定看護師としての役割

  • 痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題のアセスメント
  • 全人的問題を緩和し、QOLを向上するための症状マネジメント
  • 家族の喪失や悲嘆への対応

府中病院での活動

病棟看護師としての看護実践に加え、緩和ケアチームで毎週1回、回診を行っています。患者さん・ご家族の全人的苦痛を理解して、患者さん・ご家族の価値観を尊重したケアの実践や多職種連携を行っています。また、外来患者さんの告知の場面に同席し、医師から説明された内容が適切に理解できるよう面談を行い、精神的な支援を行っています。
  
また、緩和ケアは特別な誰かから提供されるものではなく、日常診療・ケアにおいてすべての医療スタッフから提供されるケアであり、院内研修や看護学校の授業・実習を通して緩和ケアについての教育を行っています。そして、患者さんやご家族からすると、“緩和ケア”と聞くと“終末期”というイメージがまだまだ強いのが実際です。そのため、市民講座や小中学校のがん教育の授業を通して緩和ケアについての普及啓発活動を行っています。

(緩和ケアチームの回診の様子)

今後の目標

患者さんの一番身近にいるのは看護師であり、患者さんの喜びや悲しみを共にできることは看護師の特権です。がんと診断されることは患者さんにとっては突然に起こる大きな衝撃となり、その衝撃の中で患者さんは様々な意思決定を必要とされます。そういった患者さん・ご家族に寄り添い、一つひとつの事柄を整理するお手伝いをしていきたいと思います。患者さんは治療における制限を強いられることも少なくはありませんが、病気を患ってもその人らしく生活できるよう積極的治療の時期から最期の時まで、地域に根付いた府中病院だからこそ出来る、切れ目のない支援を行っていきたいと考えています。