一人一人に寄り添う回復期リハビリテーション看護を目指して

私がリハビリテーション看護に関わったきっかかけは、患者さん一人一人とじっくり関わり、個別性のある看護をしたい、良くなっていく患者さんを近くでサポートしたいと思ったからです。

当病棟は脳血管疾患患者さんが8割をしめています。病気の後遺症で、麻痺がある患者さん、失語があり言葉が上手に話せない患者さん、嚥下が悪く食事ができない患者さんなど、リハビリを必要とする患者さんが多く入院しています。今まで、そのような患者さんに対して、どうしたら自宅へ帰ることができるかを、カンファレンスで多職種と情報交換し、病棟での援助や患者指導を通して、患者さんが望む場所へ退院できるよう支援してきました。毎日のリハビリや病棟内訓練を通して、患者さんは少しづつできるところが増え、機能が改善していきますが、中には患者さんから「こんな状態で帰れるのか」、「これからどうなるのか」など、先の見通しが分からず不安を表出する患者さんも多くおられます。機能改善に向けての援助だけではなく、障害受容に対する支援も大切なことであり、障害とうまく付き合っていく方法を見つけるお手伝いをすることも私たちの役割だと考え、常に寄り添うことを意識しています。

自分で動くことが出来なかった患者さんが退院時には歩いていたり、経鼻栄養を行っていた患者さんが経口摂取することが出来たりなど、障害を負ってしまった患者さんが回復していくプロセスや変化は目に見えてわかります。患者さんやご家族への支援を通し喜びを共有することが、今の私の成長につながっています。これからも、患者さんに寄り添いながら、在宅へ戻れるよう支援していきたいと思います。

患者さんと関わる大切さを日々実感できるプライマリーナーシング

回復期リハビリテーション病棟の看護体制は、患者さん一人に対して、入院から退院までを責任を持って担当させていただく、プライマリーナーシングを導入しています。プライマリーナーシングを取り入れていることで、患者さんと寄り添う時間が急性期病棟よりも長いため、患者さんが地域に戻れるためにはどのように援助すればよいのか、多職種がチームとなり、一緒に考え、患者さんやご家族に対して援助しています。また、患者さんやご家族が退院後の生活がイメージできるように、自宅への訪問や退院前にカンファレンスを開催し、地域へ戻った後も支援できるような体制を作っています。患者さんは、リハビリテーションの時間だけではなく、入院生活を送る日常の病棟の中でも、看護師と共に、日常生活に戻るための更衣動作練習や歩行練習、入浴動作などの病棟内訓練を取り入れています。患者さんの疾患は多様であるため、それぞれの患者さんの障害に応じた内容を考えた援助をそれぞれの看護師が考え、カンファレンスを開催し援助を行っています。

今後も、障害に応じた援助だけではなく、退院後の生活や再発の防止を視野に入れた看護を行えるように、回復期リハビリテーション病棟の役割として行っていきます。