こんにちは。栄養管理室です。
皆さん、普段の食事はどのようなところに気をつけていますか?

近年、テレビなどでも「○○な食材は健康に良い!」など、食に対する関心が高まっています。私たちが元気に生活するために「栄養」はとても大切です。

府中病院に入院されている患者さんの栄養を、しっかり、ばっちり、サポートしているのが、私たち「管理栄養士」です。

この記事では、私たち管理栄養士がどのように、患者さんの「栄養」をサポートしているのか?
「管理栄養士」がどのようにして育つのか?
病院の食事がどのように作られているのか?

についてご紹介していきたいと思います。

健康でおいしい食事を目指して~管理栄養士の献立づくり~

私たち、管理栄養士は食事を通して患者さんの病状や栄養状態の改善に努めています。
では、府中病院に入院されている患者さんの食事はどこで作られていると思いますか?

患者さんの食事は、私たちの法人施設である
ベルキッチン(院外の調理センター)で作られ、「安心」「安全」で美味しい食事が府中病院に毎食配送されてきます。

ベルキッチンではニュークックチル方式を採用しています。

ニュークックチル方式とは、材料を下処理し、加熱調理したあと0~3℃まで急速に冷却し、盛り付け、トレイメイク(盛り付けされた食事をトレイにセットする)後、チルド保管を行い食べる前に再び温めなおす調理方法です。
この調理方法により、衛生面が飛躍的に向上し、食の安全が担保され、
患者さん全員に安心で安全な「食」をお届け出来ています。

しかし、病院で入院されている患者さんは、疾患によって塩分やたんぱく質がコントロールされていたり、食べ物の形態(すりつぶされたものや、サイコロ状に一口大にされたもの)が違っていたりします。

そのため、料理内容や種類がとても多くなり、煩雑になってしまいます。
これらの情報を整理し、病気や疾患に応じた理想的な献立を考えるのも私たち「管理栄養士」の大切な仕事です。

もちろん、食事をつくるのは調理師さんなので、調理師と管理栄養士で協働して献立を作成しているのです。

当法人に入職した管理栄養士はまずベルキッチンでこのような業務に携わります。
なぜなら、味付けの調整やおかずの組み合わせ、疾患ごとの食材の違いなどについて熟知し、その食事を例に栄養指導をすることで、患者さんにより理解していただけるからです。

このように、美味しい食事を安心して患者さんに召し上がっていただくために、私たちは調理の現場とも連携して業務をしています。

栄養管理業務とチーム医療での活躍

当院の管理栄養士は病棟担当制となっています。

まず、府中病院に入院されたときに、病棟担当の管理栄養士が、
「もともと自宅ではどんな食事を召し上がっていたのか?」
「栄養はしっかり摂れていたのか?」
など、適切な食事提供を出来るように確認します。

また、食事時間に訪室し、
「ちゃんと召し上がっているかな?」
「食材が固すぎたりしていないかな?」
「大きすぎたりしていないかな?」
といった食事量や食事形態に問題がないか確認しています。

もし、うまく食事がとれていなければ日々の状況を看護師に確認し、嚥下(飲み込み)に問題があれば言語聴覚士に相談し、最終的に主治医へ報告し食事面の問題を解決していきます。

このように、栄養の問題は看護やリハビリなど他の専門職と連携して「チーム医療」として解決することが求められています。

そのため、私たち「管理栄養士」は院内でのNST・褥瘡・緩和・嚥下・感染対策と多くのチーム医療に参画し、他の専門職と協働しています。

NSTとは「Nutrition Support Team」の略で患者さんに適切な栄養管理を行うための多職種で結成されたチームのことです。
NSTは管理栄養士が主となり、医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師・言語聴覚士で栄養管理を実践しています。

回診時は医師や多職種と共に入院患者さんを訪問し、今後の治療方針を検討し主治医へ報告しています。
またNSTとして昼食時間を利用して毎月1回勉強会を行っています。
NSTに所属している職種が参加し、職種ごとに勉強内容を決めて行っているため、それぞれの専門分野を活かしNSTチームのレベルアップに繋げています。
その勉強会に管理栄養士は全員参加することができ、栄養管理室内の知識向上に努めています。

チーム医療については1年毎に交代で担当するため、より管理栄養士としての専門的な知識を広く習得出来るところが、府中病院栄養管理室の強みです。
はじめは、先輩と一緒に回診するので心配ありません!

またNST専門療法士や糖尿病療養指導士といった専門資格があり、栄養管理室では資格取得にむけて積極的に取り組んでいます。

新人教育制度について

管理栄養士は入職時のベルキッチンでの経験を活かし、栄養管理業務を先輩管理栄養士の指導のもと、進捗状況に合わせて栄養管理計画書作成・入院栄養指導・外来栄養指導(生活習慣病・透析・がん)・集団栄養指導(糖尿病・心不全)を行っていきます。
個人栄養指導では患者さんの自宅での取り組みが重要なポイントでもありますが、それを少しでもサポートできるよう、患者さんの理解力に合わせて目標設定し、継続的に指導介入しています。

栄養管理計画書や指導記録などの振り返りや疑問点は定期的に開催されるオーディットで解消し、患者さんでの対応に疑問があれば日々室内で相談し合い、患者さんそれぞれに見合った指導や食事提供をするように心がけています。

オーディットとは「病院の看護などで、看護記録などからその看護内容の妥当性・適切性を当人や同僚、専門家が評価すること」です。

また毎年積極的に学会やセミナーに参加し臨床栄養の知識向上に繋げています。
2019年度は日本静脈経腸栄養学会・日本病院学会・日本病態栄養学会などで発表し、毎年発表出来るよう取り組んでいます。

私たち府中病院の管理栄養士は、「給食業務」「臨床栄養」双方の理解を深め、
患者さんのより良い治療に貢献できる栄養管理・指導のエキスパートを目指しています。
『食』は『いのち』、生きることを支える栄養管理の体現に向けて、私たち府中病院栄養管理室はこれからも人財を育てていきます。