食事はバランスだけではなく食べ方や時間によって体に与える影響が変わります。
  
「食べ方で何が変わるの?」
「カロリーだけ気にしていたらいいんじゃないの?」
「運動していたら何を食べてもいいんじゃないの?」
「おなかが減ったら食べたらいいんじゃないの?」
  
などいろいろ思った方もいるかもしれません。
ですが、朝食は飲み物だけとか、夜遅くに夜食を食べたり暴飲暴食など不規則な食生活をしたりすると、便秘や下痢を繰り返し腸内環境が悪化して常在菌のバランスが崩れて免疫力が低下してしまいます。また、肥満や糖尿病、高血圧、脂質異常症など生活習慣病につながります。生活習慣病にならないため、また糖尿病や高血圧などと診断を受けておられる方は今以上悪くならないためにもバランスのとれた食事をこころがけるようにしましょう。

どういった食事が、バランスが良いのか?

厚生労働省と農林水産省の共同により策定された「食事バランスガイド」があります。(下図参照)
これはコマをイメージしています。

上から順番に「ご飯などの主食」、「野菜などの副菜」、「肉や魚などの主食」、「牛乳や果物」が示されています。

  • 中心の軸… 水やお茶の水分で食事の中で欠かせないことを表しています。
  • コマの紐… 菓子類やジュースなどの嗜好食品にたとえています。食生活の中の楽しみとしてとらえて食事全体の量的なバランスを考え、適度に摂取する必要があることから、コマを回すための「ヒモ」として表現されており、「楽しく適度に」というメッセージがこめられています。
  • 上にある人… 運動を表していて運動することでコマが安定して回ることを表現しています。適度な運動が必要ということです。

(引用:厚生労働省e-ヘルスネット)

食事バランスはこのように色々な食材を取り入れてバランスよく食べることが重要で、それぞれ役割があります。
炭水化物になるので体重が増えるからとの理由で制限している方はいませんか?
主食はエネルギー源になるため適正量食べないといけません。
主菜は血や筋肉など体を作る「もと」になる食材になります。
副菜は体の調子を整えます。食物繊維やビタミン、ミネラルを取ることができます。
1日1回は食べたい食品です。毎食食べると過剰になってしまうので1日1回、食べることをおすすめします。
このようにバランスを意識した食事を食べていたら、「別に問題ないんじゃないの?」って思う方もいるかもしれません。
食事内容が同じであっても、食べる時間や食事の間隔、食べる順番、噛む回数などで、血糖値の上がり方や体脂肪への影響は異なります。
  
血糖値が高い状態が続くと、糖尿病になるリスクが高くなるだけでなく、体脂肪も増えやすくなるため肥満リスクも高くなります。そのため、バランスがとれた食事にプラスして、食事のリズムや食べ方も重要になってきます。

食事のリズムについて

私たちの体は食事をすることによって食べたエネルギーを、朝から昼にかけては体を動かすために使い、夜は副交感神経の働きで、食べたものを脂肪としてため込もうとするため、夕食の食事量が脂肪量にも影響しやすくなります。

特に夜遅い時間の食事は中性脂肪へと変換され、体脂肪を合成しやすくなるため、肥満になりやすくなります。

外出や残業などで夕食時間が遅くなる時は、早い時間帯におにぎりやサンドイッチ、シリアルバーなどの腹持ちのよいものを軽く食べておき、帰宅後は主食以外のおかずを食べるなど食べ方を工夫しましょう。

そして食事は1日3回、規則正しく摂ることが基本です。

なぜなら、間があきすぎて空腹の時間が長く続くと、次に食べたものの吸収が良くなるため、血糖値の急上昇が起こりやすくなるからです。

また、体が飢えに備えるために次に食べたものを体脂肪として蓄えやすくなります。

反対に、食事の間隔が短くなると、最初に食べたものによって上がった血糖値が下がりきる前に、血糖値が上がり始めてしまうため、高血糖の状態が長時間続くことになります。

どれくらいの時間をあけて食べるのが良いのでしょう

食事を食べるベストタイミングは図のような時間です。

起きてから「すぐ」が理想です。遅くとも「2時間以内」、朝7時に起床する人であれば、せめて9時までには食べるのが望ましいです。
朝食には、毎朝ズレている体内時計のズレをリセットし、体内時計のサイクルと生活のサイクルを合わせる重要な役割があります。
朝食をとってから5時間後が理想です。7時に朝食をとっていれば、12時が理想です。
体内時計の働きにより、消化吸収に関わる臓器は日中活発に活動します。
その時間に食事をとることで、エネルギーを効率的に得ることができ、かつ、内臓への負担も少なくてすみます。
朝食から10時間後、遅くとも12時間以内が理想です。朝7時に朝食をとった人は17時くらいがベストで、19時くらいまでに食べてください。
夜遅くなるほど、内臓の消化や吸収能力は落ちるため、非効率なうえ、内臓への負担も大きいからです。
また、夜遅い食事は、翌朝の食欲を減退させる恐れがあり、体内時計を合わせる大事な「朝食」をとりにくくなってしまいます。
可能であればこの様な形で食事のリズムを整えていきましょう。

食べ方について

おすすめしない食べ方は、糖質が多いものから食べる。早食い、ドカ食いなどです。
空腹状態からいきなりお菓子やご飯などの糖質が多い食べ物をたくさん食べたり、早食いやドカ食いなどは血糖値を急上昇させてしまいます。
  
血糖値が急上昇するとインスリンは過剰に分泌され、体に脂肪をため込みやすくなってしまいます。その結果、体重が増えるという状況になってしまいます。
  
みなさんが食事で最初に口にするのは何でしょうか?
ご飯? 肉や魚? 野菜? 何も気にせず食べているという方もいるかもしれません。
おすすめはタンパク質から食べることです。
  
以前は食物繊維が豊富に含まれている野菜を最初に食べて、血糖値の上昇を抑えたり、カロリーを抑えたりするためにも「野菜から食べましょう」というイメージがあったかと思います。(ベジファーストという)
現在はたんぱく質から食べることで腸からインクレチンというホルモンが分泌され、胃の動きが緩やかになり、その後の糖の急上昇も抑えられることがわかってきています。
このたんぱく質から食べることを「プロテインファースト」といいます。
今まで「野菜をしっかり食べないと」と思ってサラダをお皿いっぱい食べていた方も多いかもしれません。
これからは野菜だけのサラダではなく、卵や鶏肉、ツナなどのたんぱく質が入っているサラダを食べるようにしましょう。
または野菜と一緒ではなく、焼いたお肉から食べても問題ありません。
  
またサラダのドレッシングはどのタイプを選ぶことが多いですか?
カロリーを気にしてノンオイルばっかりにしている方はおられませんか?
脂質はカロリーが高いと避けられがちでしたが、消化をゆっくりにすることから、質と量を意識してオイル入りのドレッシングを上手に摂ることも重要といわれています。
つまり、ランチの最初に野菜サラダを選ぶなら、「野菜だけ+ノンオイルドレッシング」よりも、「お肉やシーチキンが入っているもの+オイルドレッシング」の方が、消化吸収がゆっくりになり、血糖値の急上昇を抑えるのに効果的といえます。
ですが、一つだけ注意点があります。
油はやはりカロリーが高いので、使い過ぎには注意です!
青魚の脂質や植物性油脂がオススメ、肉類・卵・乳製品の脂質は控えめが良いでしょう。
さらに食べる時のポイント!!
さらに食べる時のポイントは、よく噛んで食べることです。
ゆっくりよく噛んで食べることを意識すると、早食いを防止して満腹感を得られるようになり、食べ過ぎ防止・肥満予防に繋がります。
また、よく噛むことで唾液がたくさん出て、消化・吸収をサポートしてくれ胃腸の負担が少なくなります。
  
なので、タンパク質、野菜の順にゆっくり良く噛んで食べるようにしましょう。
そして、5~10分してから炭水化物を食べましょう。
そうすると、血糖値も緩やかに上ってくれるので高血糖が防げます。
さらに高血糖を防ぐための食材をみていきたいと思います。

気付きにくい「血糖値スパイク」に注意!

血糖値を点(ある時点の測定値)ではなく線(連続測定の値)で把握することを「血糖トレンド」と言います。専用の機器を使って24時間連続測定することにより、血糖値スパイクなどリスクの高い急激な血糖変動を把握することができます。
急激な血糖の上がり下がりは、動脈硬化を進行させ、脳卒中や心筋梗塞などのリスクを高めるため、「血糖トレンド」の波をなるべくなだらかにすることが、健康管理のうえでは重要になります。今回ご紹介した、「ベジ+たんぱく源ファースト」や「繊維オン」は、急激な血糖上昇を抑えるのに有効な食べ方です。
「ご飯」→「魚」の順で食べると血糖値はグッと上がります。
それに対して、「魚」→「ご飯」、「肉」→「ご飯」の順で食べると血糖値はゆるやかに上がります。
  
そしてこのグッと上がっている血糖値は「血糖スパイク」と言います。
血糖値スパイクは動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中による突然死のリスクを高めると考えられています。
最近の研究では、この危険な血糖値スパイクが、血糖値が正常な人にも起きていることが明らかになってきているので健康診断で血糖値を指摘されていなくても、血糖スパイクにならないように注意していきたいところですね。
みなさん、「GI値」って聞いたことありますか?
これは食後の血糖値の上げやすさの指標で、ブドウ糖を摂取したときの血糖値の上昇を100として、それに対して食べ物を食べた時の血糖値の上昇がどの程度かを測定して求めた値になります。この数字が小さいほど血糖値が上がりにくいということになります。
  
GI値は70以上であれば高GIと言われていて糖として吸収されやすいため高血糖を招きやすくなっています。
米でみると、白米より押し麦や玄米の方がGI値が低くなっています。
麺類ではうどんよりそばやスパゲティがGI値が低くなっています。
パンも同様に食パンやロールパンなどシンプルなパンよりライ麦や全粒粉が入っているパンのほうがGIが低くなっています。
芋類では、じゃがいもよりさつま芋のほうがGI値が低くなっています。
この様に、同じグループでもGI値に差があるため、どの種類を食べるかによって食後の血糖値の上がり方が変わってくるということになります。
食後の血糖上昇を緩やかにするためにもできれば低GIに含まれる食品を選んでみましょう。

まとめ

今回は、生活習慣予防のためや、糖尿病や高血圧が悪化しないための食事のリズムや食べ方について説明しました。
まずは、偏った食材ばかりにならにようにバランスのとれた食事を心がけましょう。
次に、1日3回規則正しい時間に食べましょう。食事の間隔が長ければ、高血糖になったり脂肪として蓄えやすくなったりします。また時間が短ければ、高血糖の時間が長くなりすぎてしまって血管に負担を与えてしまいます。そうならないように、規則正しく食べるようにしましょう。
  
最後にプロテインファースト。
炭水化物からではなく、たんぱく質と野菜を食べて、食事を始めてから5分以降に炭水化物を食べましょう。そして、ゆっくり良く噛んで食べるようにしましょう。

この記事は、2023年6月16日に開催された市民公開講座の内容を改変した記事です。

テーマ:「食事のリズムや食べ方」気にしていますか?
講師:管理栄養士
場所:府中病院 西館地下1階 セミナーホール
  
府中病院では、「市民公開講座」を毎月開催しています。様々なテーマで開催していますので、ぜひ、ご参加ください。
ご希望の方には健康チェック(血糖測定・血圧測定)を行っています!