病理診断科のご紹介
正確な病理診断とともに、患者さんにとって何が良いのかを考えながら病理診断を行っています。そのために、臨床医と常にオープンな関係を保てるようにしています。
病理診断科の担う主な診療は、主に以下の病理組織診断、細胞診断、術中迅速診断、および病理解剖4つから成っています。患者さんと直接顔を合わせることはありませんが、どれも診断、治療に深く関係しています。
1. 病理組織診断
診療の過程で病変組織そのものを調べる必要があると判断された時、生検あるいは手術にて組織を採取し、主に顕微鏡を使って調べる検査です。組織はホルマリン固定後に薄く切ってガラス板に貼付けて染色し、プレパラートと呼ばれる標本を作製し観察します。疾患は主に腫瘍、炎症、代謝異常、奇形に分類されます。腫瘍であれば良悪性、組織型、広がり、増殖様式、悪性度、機能、治療に関係する分子の発現等を調べます。手術標本は、切除断端も判定します。炎症であれば、組織型、広がり、原因(感染症、自己免疫疾患、アレルギー等)等を検索します。薬剤や放射線等の治療効果を調べる場合もあります。これらの病理診断、所見を記述し臨床医に報告します。紹介患者であれば、他院からのプレパラート標本をもう一度確認し診断する場合もあります。
2. 細胞診断
子宮頸部、胆道、乳腺、尿、腹水、胸水等から細胞をブラシ等擦って採取、針を刺して吸引、あるいは浮遊しているものをガラス板に貼付けて染色し、プレパラートを作製し診断する検査です。組織検査よりも患者の負担が少なく、費用も安価です。ただし組織診断と異なり剥離した細胞を見ているので、診断確定に至る率は低下します。必要であれば、次に組織診断を行います。
3. 術中迅速診断
主に外科系の手術中に、切除断端の評価、リンパ節転移の有無、良悪性等の判定を行う病理組織検査です。術中での術式や治療方針決定に寄与します。組織を迅速に凍結固定させてプレパラートを作製し、組織提出から診断まで約15-20分で行う検査です。ただしホルマリンに比べ凍結固定は十分では無く、後日の再ホルマリン固定後の診断が最終診断となります。
4. 病理解剖
懸命の治療に関わらず不幸にして亡くなられた患者さんの御遺体を解剖して、病変を詳しく調べる検査です。臓器を摘出し、肉眼所見を調べ、病理組織検査を行います。死亡に至った原因や生前分からなかった病態も調べます。最終的にはCPCと呼ばれるカンファレンスにて病理医と臨床医が検討し、最終診断を行い、御遺族に報告します。当院は臨床研修病院にて、研修医の教育にも役立たせています。
病理診断科の特色
他科との定期的なカンファレンスを行い、密接な連携を心がけています。またカンファレンス以外でも質問があれば、時間が許す限りはいつでもディスカッションするようにしています。病理医と臨床医とのオープンな関係が、患者さんへの良い診療に繋がると考えています。